北朝鮮の大同江ビール、中国へ独占輸入していた企業は北の核開発協力にも関与していた

馬氏拘束前の鴻祥グループ遼寧鴻祥国際貨運代理有限公司のサイト(現在は閉鎖)

 開幕直前の中止発表となった北朝鮮の大同江ビール祭り。昨年始まったばかりで開催されていれば2回目だったこのイベントは、夏の外貨獲得の目玉イベントとして北朝鮮の旅行会社も力を入れてPRしていたものだった。イベント中止でにわかに注目されたのが、大同江ビールだ。そもそも北朝鮮のビールなんて想像もできないし、「美味しいの?」と思う人も多いのではなかろうか。  実は北朝鮮には復数のビールブランドが存在する。大同江ビール以外はお世辞にもビールとしてうまいとは言えないものであるが、大同江ビールは評判がよく特にヨーロッパで高い評価を受けている。その理由は、イギリスで廃業となったビール工場を買い取り、設備をほぼそのまま北朝鮮に移築したものだからだ。元イギリスビールなのでコクが強く濃いヨーロッパ人好みの味となっているわけだ。  しかも、大同江ビールを初期の頃から飲んでいる人に言わせると、明らかに今の方が風味も豊かで味も進化していると話す。

北朝鮮では瓶以外にも生ビールや昨年からは缶ビールも登場した大同江ビール

 大同江ビールは、2001年に故金正日総書記が、人民に良質なビールを届けたいという号令の元でプロジェクトが始まり、2002年4月から工場が稼働し、ビール生産を始めている。当初はオーストラリア産の麦芽を使用していたが、徐々に国産麦芽に切り替えていき国産原料で製造されている。それが昨年の不作に加え今回の干ばつで麦が取れずビールが作れなくなりビール祭りを中止せざるを得なかったという説も上がっているが、北朝鮮ツアーを手配する旅行代理店にも中止理由はいまだに伝えられていない。

ビールでは南北対決は北の勝利

 朝鮮半島ウォッチャーの間で、南北は経済では南が圧勝しているが、ビールでは北が圧勝していると話題になることがある。韓国のビールのまずさは有名な話で、2014年にロッテが発売したオールモルト「クラウドビール」が登場して多少マシになったが、それまでは大同江ビールの方がうまいと言われていた。    以前、記者が韓国人に「どうして韓国のビールはまずいの?」と酔ったついでに失礼な質問をしたことがあるが、「我が国ではビールは大人が飲むものではなく子どもや女性の飲み物だ」など話していたので、「では、大人は何を飲むの?」と重ねて聞くと、「焼酎か洋酒」と即答してきた。どうやら多くの韓国人も韓国のビールのまずさは自覚しているようだった。
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北朝鮮に核開発関連物質を輸入した企業がビールも……
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