宇宙には届かずも、大きな成果 – 日本発のロケット会社「インターステラテクノロジズ」の挑戦

MOMOの想像図 提供 インターステラテクノロジズ

打ち上げ後66秒で通信途絶、エンジンを停止させ安全に落下

 ISTはこれまでも、ロケットの開発や打ち上げ実験を何度も行っているが、いずれも低い高度までの飛行で、高度6.5kmに到達したのが最高だった。一般的に宇宙空間とされる高度100kmを狙うのは今回が初めてであり、それだけの能力をもったロケットを開発したのも、今回のMOMOが初めてだった。  打ち上げは当初7月29日の間に予定されていたが、技術的なトラブルや天候不良により延期。予備日として確保されていた30日も、トラブルや警戒区域に船が侵入してきたことなどから延期となり、今回打ち上げ可能な日程の最後、ほぼラストチャンスでの打ち上げとなった。  7月30日16時31分、MOMOは北海道広尾郡大樹町の太平洋沿岸にある発射台を飛び立ち、大空高く舞い上がった。  しかし打ち上げから約66秒後、高度約10km付近を約マッハ1.3で飛行中に、ロケットの状態などを示す「テレメトリー」という信号が地上に届かなくなった。テレメトリーがないと、ロケットの状態を把握することができず、もしかしたら明後日の方向に飛んでいってしまうかもしれない。そのためISTは、即座にエンジンを停止させる命令をロケットに送り、それ以上の飛行を行わないようにした。  ちなみにMOMOには、地上との通信が取れなくなった場合など異常が発生した際には、コンピューターが自動的にエンジンを止める機能があり、また電源が切れてしまったような場合にもやはり自動で止まるようにもなっているなど、安全機構が幾重にも装備されているという。そのため、この命令が届いていようが届いていまいが、エンジンは止まっていた可能性が高い。  いずれにしてもエンジンが止まったMOMOは、慣性で高度20kmほどまで上がった後、発射台から沖合約6.5kmの太平洋上に落下した。  また、こうした場合に備えて、ロケットが落下するであろう海域はあらかじめ船や飛行機の航行が禁止されていたので、被害なども出ていない。
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発展的な失敗
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