成功の秘訣(3)欲しいものはどんな手を使っても手に入れる
前述のように、最終的に彼はマクドナルド兄弟から「マクドナルド」の商権を買収し、とうとうそれをわが手のものにします。
映画の終盤、クロックの強引さに負けて「マクドナルド」を手放したマクドナルド兄弟の兄ディックに、なぜそこまで「マクドナルド」にこだわったのかを尋ねられ、彼はこう答えます。
「同じアイデアで始めていても失敗していたさ。誰も出来ないマクドナルドが持つ、特別な何かが欠けているから。システムだけじゃない。“マクドナルド”という輝かしい名前さ。制限もなくオープンで音の感じが、いかにもアメリカらしいんだ」
「店であの名前の看板を初めて見た時、ひと目ぼれしたんだよ。あの時決めたんだ。手に入れようと」
果たして「マクドナルド」というブランドネームがそこまで秀逸だったのかはわかりません。ただ事実としては、「マクドナルド」という商号を奪われたマクドナルド兄弟は「マクドナルド」の代わりに「ビッグM」というブランドでハンバーガーショップを続けましたが、数年で廃業に追い込まれたと言われています。
トランプ大統領の記事にも書きましたが、お金持ちは欲しいものがあったら、とにかくどんな手を使ってでもそれを手に入れる、という執念を持っています。
アップルのスティーブ・ジョブズはゼロックス社パロアルト研究所を見学した際、当時同研究所が開発中だったGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェイス)の技術を見せてもらい、そのアイデアを模倣してマッキントッシュを開発したと言われています。
そしてマイクロソフトのビル・ゲイツもまた、パロアルト研究所の技術者を引き抜いたり、当時取引関係にあったアップルから開発中のマッキントッシュを見せてもらったりして、それらを参考にGUIを開発してウィンドウズを商品化したと言います。
彼らは、自分の理想を実現することをすべてにおいて優先しています。ですからそれに必要なものが出てきたとき、彼らは決しておとなしく待つようなことはしません。多少強引な手段を使ってでも手に入れるのです。
このように、レイ・クロックは不屈の精神力と強引ともいえる行動力で、世界最大のファストフードチェーンを作るに至りました。上記で見たような彼の精神力と行動力が成功要因になっていることは間違いないと思いますが、こうした生き方が他の人の共感を呼ぶかどうかはまた別問題であることを補足しておきます。映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』では、決してただの善人ではなかった彼の一面を赤裸々に描いており、その点でも一見の価値があります。
次回も世界の成功者たちや大富豪をピックアップし、彼らの成功哲学をご紹介したいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
【高田晋一】
(株)成功データ研究所 代表取締役。作家。データアナリスト。早稲田大学第一文学部哲学科卒業、英国国立ウェールズ大学経営大学院Postgraduate Diploma取得。10年以上にわたり、電通グループ各社で市場調査やデータ分析を担当。成功に関する文献・データを集め分析することをライフワークとし、これまでに1000冊以上の自己啓発本・成功本などを読破。その後独立し、社会的成功に関する研究を行なう専門機関、「(株)成功データ研究所」を設立。これまでの研究結果を書籍やセミナー、雑誌やWEBの記事などを通じて発表している。著書に、『
「人生成功」の統計学 自己啓発の名著50冊に共通する8つの成功法則』(ぱる出版)、『
自己啓発の名著から学ぶ 世界一カンタンな人生の変え方』(サンクチュアリ出版)、『
大富豪の伝記で見つけた 1億稼ぐ50の教え』(サンクチュアリ出版)、『
成功法則大全』(WAVE出版)など。
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