フランチャイズ契約を結んで、ともに事業を拡大させていくよう協力し合うレイ・クロックとマクドナルド兄弟とですが、この両者の関係が映画の中盤から少しずつ歪み始めます。
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規模拡大を優先し、そのために不必要なコストはカットしたいレイ・クロックと、品質を下げるくらいなら現状維持のままでいいマクドナルド兄弟。この考え方の違いが少しずつ表面化していきます。
レイ・クロックはマクドナルド兄弟と結んだ契約に縛られ、やりたいことができずに苛立ち始めます。そしてとうとう彼は、兄弟には無断で、別会社「マクドナルド・システム」を立ち上げてそちらで自分流の経営に乗り出すともに、「マクドナルド」の「創業者」を名乗り始めるのです。当然ながらマクドナルド兄弟はこれに激怒し、両者の対立は決定的なものになります。ちなみに映画のタイトルである「ファウンダー(創業者)」は、こうした彼の行動を皮肉った意味が込められていることは言うまでもありません。
この彼の行動をどう見るかは解釈が分かれることだと思います。客観的に見れば、マクドナルド兄弟との契約関係、そして信頼関係を踏みにじる、卑劣な行為でしょう。
ただし、お金持ちになった人々はしばしばこうした行動をとります。絶対にこうした方が正しい、と思ったのなら、まだ許可が降りていない段階に「見切り発車」で走り始め、実績を作ってしまって「既成事実化」してしまうのです。
倫理的な評価はさておき、こうした彼の行動が後にハンバーガー帝国を築くことになった1つの成功要因であることは疑いのないところだと思われます。