中国で広がる南北格差。同じ中国でも地域によって日本人の生活環境に大きな差が

旧大連ヤマトホテルなどがあるも観光資源に乏しく出張者が多い大連

 中国では、以前報じた記事(「上海住宅デモ」のあまりに酷い真相と、デモ参加者に届いた恐怖のメッセージ)でも触れたように、市民の学歴、勤続年数、社会保障費の納付期間、職業、所得税の納付額、貢献度などによってポイントが加算され、それによって市民の社会的信用度を評価するというシステムが運営されている。この市民格付けシステムは、戸籍の移動が難しい中国において、よその土地で生まれた中国人が上海のような人気都市でさまざまな社会保障を得られる戸籍を手に入れるときなどに、「120ポイント以上であれば入手できる」といったように使われている。  そんな「格付け」は、外国人にも拡大し、今年4月には、外国人についても、その能力や職歴、学歴などによってランク付け制度がスタートし(ちなみに、一部メディアではセンセーショナルに報じられたが、実際は日本でも高度人材外国人をポイント制で分類し優遇措置を付与する制度を実施している。参照:法務省入国管理局「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」)、在留邦人を戦々恐々とさせた。  しかし、制度が始まって約3か月、大きな変化はない。というのもランク対象者が4月以降に就労ビザを新規で取得する人である点や4月以前に取得している更新者は事実上除外扱いとなっているからだ。  しかし、そんな中国では、ランク付け制度以上に、「北厳南寛」のような「都市による外国人への対応の国内格差」が発生して広がりつつある。 北厳南寛は著者の造語だが、文字通り、同じ国でありながら北が厳しく、南が寛やかなため、生活環境がいい南へ国内移動する日本人が出始めているのだ。
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大連と深センで異なる就労ビザへの意識
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