取調べに指定される日時はほぼ100%平日昼間になる。ごくまれに夜の時間帯が指定されることもあるらしいが、検察への出頭はまず間違いなく平日昼間オンリーで、仕事を途中で抜けるか会社を休む必要が出てくる。そして、不起訴で済めば事件はそれで終わりだが、起訴されてしまえば、今度は裁判のためやはり平日昼間、裁判所へ行くのだ。
とはいえ、身柄事件として留置場や拘置所にブチ込まれ、外部との連絡もとれないまま刑事手続きが進むことを考えれば、在宅捜査による刑事手続きは天国のようである。警察や検察、および裁判所に指定された出頭要請を守れば、今までと変わらない生活が送れるし、身柄事件にくらべて捜査のテンポが遅い分、弁護士と対応策を練ることもできる。
不幸にも起訴され、さらに有罪判決をくらった場合、初犯であれば下される判決は人生を終わらせるほど重いものではない。痴漢といわれる犯罪には強制わいせつ罪と迷惑防止条例だが、初犯で否認事件だと下される判決の量刑は、
強制わいせつ:懲役6か月~2年 執行猶予(4年)
迷惑防止条例:罰金30万~50万円
といったところである。
強制わいせつ罪で訴えられる痴漢事件などというのは相当悪質なケースだ。そのうえ、無実を争って、起訴容疑を否認しているわけなので、有罪認定されると「被告人は反省していない」と、裁判官に言われてしまうのである。そうなるといくら初犯であっても、いきなり実刑という最悪の事態もあり得る。
とはいえ、大部分の痴漢事件は迷惑防止条例違反だ。こちらも一応、懲役刑が設定されているが、初犯でいきなり懲役刑が科せられるケースはまずない。迷惑防止条例違反の初犯は罰金30万円くらいが相場だが、容疑を否認した状態だと、やっぱり迷惑防止条例違反の初犯の罰金最高額である50万円の支払いを命令されることもある。