痴漢冤罪事件に巻き込まれるとどうなるか? 経験者曰く「駅員室に入るとほとんど終了!?」

最寄の警察署に連行される!

 そうこうしている内に、最寄の警察署からも警察官が到着する。この場合、私服刑事が来るか、警察署の制服警官が来るかはケース・バイ・ケースだ。すでに現着していた警察官から、事情を聞くと、署から来た警察官は、 「まぁ、詳しい話は署で聞くから、一緒に来て」  と、痴漢容疑を掛けられている人を、そのまま駅前に止めてある警察車両(普通はパトカー)に乗せ、警察署まで連行してしまうのである。その後、釈放されるまで外部と直接連絡を取る方法はない。

警察署ではすぐに取調べ

 警察署まで連行されると、すぐに取調室に入れられ、早速、取調べが始まってしまう。この段階になると、その立場は完全に痴漢の容疑を掛けられた“被疑者”だ。  警察の取調室といえば、映画やTVドラマでよく描かれる場面だが、同じなのは狭苦しい点くらいで、机の上にスタンドライトはない。また、調書を手書きでは書かないので、ノートPCとコンパクトプリンタが机の上に置いてある。罪状否認をしている場合、言葉遣いこそ乱暴だが、ドラマのように胸倉を掴んで「キサマが、やったんだろぉ!?」などと恫喝をされることもない。  最初の取調べでは、 ・弁解録取書 ・身上経歴調書  という2種類の供述調書を作るのが基本だ。弁解録取書というのは、事件に関する被疑者の“言い訳”のようなもので、掛けられている容疑に対して、その罪を認めるか、否認するかという被疑者の立場を調書で明らかにするのである。  一方、身上経歴調書は、被疑者自身の生い立ちや学歴、あるいは職歴などを調書にするものだ。このふたつの調書を作ったところで、最初の取調べが一段落するのが普通である。弁解録取書も身上経歴調書も、一般的には“供述調書”と呼ばれる書類で、取調べにあたる担当捜査官(普通は私服刑事)がPCを使って作成する。  PCで作る書類なので、他の場所で改ざんできてしまう可能性がある。そこで手続き的にはその場に置いてあるコンパクトプリンタですぐにプリントアウトし、その内容に間違いがないかを被疑者自身がチェックすることになっている。そして、内容に間違いや不服がなければ、被疑者は調書の末尾にサインをし、差し替えができないよう、各ページの隅に指印を押すのである。  そのため、容疑を否認している被疑者でも、犯罪を犯しているような調書にサインをしてしまうと、同意したことになる。調書はしっかり読んでチェックしておくに越したことはない。  次回は指紋採取、そして留置所とはどんなところなのかをお届けします。 <文/ごとうさとき> 【ごとうさとき】 フリーライター。’12年にある事件に巻き込まれ、逮捕されるが何とか不起訴となって釈放される。釈放後あらためて刑事手続を勉強し、取材・調査も行う。著書『逮捕されたらこうなります!』、『痴漢に間違われたらこうなります!』(ともに自由国民社 監修者・弁護士/坂根真也)が発売中
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痴漢に間違われたらこうなります!

痴漢冤罪とどう戦うか!?