実は、苦戦しているのはMacy’s、Incだけではない。
Nordstrom,Inc.(ノードストローム)、Kohl’sCorporation(コールズ)、Target Corporation(ターゲット)などの米国百貨店も同様に、2008年のリーマンショックの頃に株価の安値を付けた後、2015年にピークを迎えて、その後、下落傾向にある。J.C.Penney Company,Inc.(JCペニー)に至っては、2012年と、他社に比較して3年も早く株価のピークを迎えた後、下落が続いている。
直近の四半期決算発表でも、ノードストロームは、第1・四半期の既存店売上高が0.8%減少したこと、コールズは、2月~4月期の四半期決算で、売上高が5四半期連続で減少したこと、ターゲットは、2-4月期(第1四半期、4月29日まで)決算で、既存店売上高は1.3%、総売上高は1.1%減したこと、JCペニーの2月~4月の四半期売上高は、既存店売上高が前年同期比3.5%減したことを発表している。
この苦戦の背景には、当然のようにあの「オンラインショッピング」の巨人の存在がある。
米国の百貨店は店舗が閉鎖され、売上高が減少し、株価が下落しているが、これらは、アマゾン(Amazon)を始めとするオンラインショップとの競争に敗れた要因が一番大きい。実際に、凋落をする百貨店チェーンに反して、米アマゾン・ドット・コムの業績は拡大する一方だ。
4月27日、アマゾンが発表した第1四半期の決算によれば、売上高は357.1億ドルでアナリストの予想353.0億ドルを上回っている。前年同期比で23%増加。1株利益は予想1.12ドルをはるかに上回る1.48ドルとなっている。(参照:「
Q1 2017 Financial Results」)
5月30日の米株式市場でも、アマゾンの株価は一時1001.20ドルに上昇し、1000ドルの大台を突破した。終値996.70ドル。ヤフーファイナンスの1年後の目標株価は、1,095.97ドルとなっており、株価上昇が予想されているのだ。
この拡大は雇用も大量に生み出している。過去5年間、アマゾンは米国で15万人以上の雇用を創出し、2011年には3万人の従業員を雇用し、2016年末には180,000人に増員している。さらに、今年の1月12日には、アマゾンの創業者兼CEOであるJeff Bezosが「新しいフルフィルメントセンターを開設し、クラウド技術、機械学習、高度な物流などの領域で革新を続けていくことで、今後18ヶ月で10万人の新しいアマゾン人を社内に追加する予定である」としている。