とはいえ、困窮した北朝鮮が核放棄に応じることもありえる。土居氏はその場合でも、やっぱり買いはアメリカ株だという。
「平和的解決に導いた大統領の支持率は急上昇し、法人税減税やインフラ投資の法案はあっさり成立する。そうなればアメリカの株価はさらに上昇します」
そして第三のシナリオが、当面の軍事衝突は回避されるが問題は先送りされるというパターンだ。この場合のアメリカ株は利上げの影響を強く受けて下落するが、実現可能性としては最も低いという。結論としては、1と2のシナリオに共通するアメリカ株に乗るのが賢い選択といえそうだ。
一方、一時は全資産を現金化した春山氏だが、4月末までにアメリカ株を買い戻し「平常運転」に戻っている。
「中国が北朝鮮への経済制裁に動いたことと、ティラーソン国務長官が『北朝鮮が非核化すれば体制変更までは求めない』と発言したことで、当面の武力衝突はないと判断しました。アメリカの企業業績は好調で、株価はすでに大統領への失望も織り込み済みです」
雇用情勢が好調なことから、消費関連とITセクターが特に有望だという。
「なかでもグーグル、マイクロソフト、スターバックスは値動きも安定しており、初心者でも投資しやすい銘柄です」(春山氏)
軍事衝突が濃厚と予想する土居氏と、危機は遠のいたと見る春山氏。北朝鮮情勢について正反対の見解を持つ資産運用の賢人2人が、くしくも「アメリカ株買い」という同じ結論に到達した。これはもう、乗るしかないビッグウエーブなのかも!?
・シナリオA(確率60~70%)
6~8月に軍事紛争
米株上昇、金(ドル建て)上昇、ドル安円高、日本株下落
・シナリオB(確率15~20%)
北朝鮮が核放棄
トランプ支持率上昇、法人税減税案成立、米株上昇、ドル高円安、日本株上昇
・シナリオC(確率10%以下)
軍事衝突なし
FOMCが利上げ、米国株下落、ドル安円高、日本株下落
【SPDR S&P 500 ETF】
基準価格:$240.30
トータルリターン:1年・17.75%、3年・10.35%
純資産:$2304億
主な販売会社:楽天証券、SBI証券、マネックス証券
ニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場する銘柄から、代表的な500銘柄の株価を指数化した「S&P500」に連動するETF。これ一本を買っておけば、アップルやマイクロソフト、アマゾン、アルファベット(グーグル)など、アメリカの名だたる企業の株に広く分散投資できるのも魅力的だ
【SPDR ゴールド・シェア】
基準価格:$117.14
トータルリターン:1年・-1.88%、3年・-0.97%
純資産:$337億
主な販売会社:楽天証券、SBI証券、マネックス証券
金に投資し、その国際価格に連動する成果を目指すETF。金を直接買わなくても手軽に「有事の金」の上昇に乗ることのできる金融商品のひとつ。東京証券取引所にも同じETFが上場されているが、「有事」の上昇に乗るならアメリカ上場のETFを利用してドル建てで投資するのがポイントだ
【春山昇華氏】
金融経済アナリスト。英国での投資業務や国内系・外資系の投資信託顧問会社などを経て、金融機関で運用関連業務に携わる。ブログ「
豊健活人生」
【土居雅紹氏】
楽天証券執行役員。大和証券、大蔵省財政金融研究所、ゴールドマン・サックス証券、eワラント証券を経て’17年2月より現職。相場のアノマリー(経験則)やバブル相場に詳しい
取材・文/森田悦子 写真/時事通信
※上記基準価額は5月15日時点の終値(NY市場)