女性であれば、すでにスピリチュアルやヨガに親しんでいる人が多いためハードルが低い。男性であればまず瞑想の教室を探すだろう。街でチラシを配っている瞑想スクールで良く目につくのはダイナミック瞑想という名前だ。
ダイナミック瞑想は泣いたり叫んだりした興奮状態を作り、そのあと静的時間に浸る。かつて自己啓発セミナーに取り入れられたため日本では評判が悪いが、アメリカでは比較的ポピュラーな手法である。ストレスフルな生活で不満がたまっているサラリーマンにはある意味、非常に効果的だ。
だが、瞑想道場やスクールを選ぶにはいくつかチェック点がある。
1.その団体が宗教や自己啓発セミナーとは無関係な健全な団体であるか。
2.健全であっても修行マニアが群れていないか。
という点である。
かつてアメリカ発の瞑想は「アウトオンリム」や「聖なる予言」といったニューエイジ本の流行により爆発的に広がった。アメリカ由来の自己啓発はニューエイジ思想から発展しているため、瞑想や自己暗示といった側面を多く含んでいる事が多い。
瞑想とスピリチュアルは非常に密接な位置にあり、さもあれば混同させようとしてくる危険が潜んでいる。瞑想後は脳が開放された状態にあるため、するするとその情報が染み込みやすい。つまり勧誘されやすい状態になってしまうのだ。
瞑想という入り口で高額セミナーを売りつける団体もある。アジア系ヨガ団体では、瞑想セミナーの後にお茶会があり、自己実現セミナーを高額な価格で勧誘していた。ヨガを入り口に瞑想と自己実現を合体させるというやり口だ。
またオウム事件でも明らかにされたように、群れるようになると修業をするほどその集団では偉いという価値観が生まれだす。瞑想をステップアップと勘違いしている集団では瞑想をやればやるほど偉くなれるのだ。そして修行マニアが生まれてその場でヒエラルキーを作る。
例えば、ある団体では10日間の沈黙を必要とする瞑想道場を行うが、通常の会社員ならそう簡単に長い休みは取れない。しかし時間さえあれば修行はできるので、時間が山のようにある無職のほうが修行者の間では偉くなりやすいという逆転が起こる。なかには10日間の瞑想を何度もするために会社を辞めるものまでいるそうだ。会社を辞めて実社会を離脱してしまうのが、瞑想の到達点だとしたら本末転倒としかいいようがない。
また勘違いしやすいが、一般社団法人とあっても公的団体ではない。会社と同じ形で設立できるただの営利集団である。そのような名前がついているからといって、すぐに信用してしまうのは非常に危険だろう。
瞑想をこれからはじめようとする初心者は、冷静に見極める眼を常に傍らにおいていないと、思わぬ穴にはまり込んでしまうかもしれない。
<文・小手平走歌>