メキシコの麻薬カルテルが手を染める「第二のビジネス」とは?
原油とガソリンの窃盗規模の大きさを理解するのに、<2009年から2012年の間にぺメックスがこの被害で損出した額は627億6100万ペソ(3770億円)>という数字を見ればしっくりくるだろうか。そして、ペーニャ・ニエトが大統領に就任した<2012年以降、現在まで970億ペソ(5820億円)の損出>を計上しているそうだ。(参照:「EFE」)
2010年からこの犯罪件数は急増し、2016年には<6873件の抜出し口が見つかっている>。それは<毎日550万リットルが盗まれている>計算になるという。例えば、2009年だと抜出し口は<462件見つかっている>だけであったそうだ。(参照:「New York Times」)
さらに、ぺメックスが2007年から2016年までに盗難届を出したケースは<17700件に上る>という。(参照:「Univision Noticias」)
プエブラ州ではこの窃盗組織を市民は「ロビンフッド」と呼ぶようになっているそうだ。
その理由は、この窃盗組織が一般の市場価格よりもほぼ半額以下の価格でガソリンを市民に提供してくれるからだという。皮肉にも犯罪が同州の経済を潤わすことに繋がっているというのだ。(参照:「New York Times」)
ただ、当初このビジネスはカルテルが独占していたが、需要が拡大するにつれて各地の地元の小規模の犯罪グループもこのビジネスに加わることになってきた。そのため、この窃盗ビジネスを商売にしている犯罪グループが増えた結果、警察や軍隊との武力衝突が起きる回数も増えているという。
しかし、市民が窃盗グループをロビンフッドと呼ぶ地域では、警察や軍隊が窃盗グループを逮捕しようとして抜出し口が設置されている場所に入ろうとすると、住民がそれを阻止する行動も見られるようになっているそうだ。彼らが逮捕されれば住民にとって安価なガソリンが手に入らなくなるからである。
市民からの呼称は「ロビンフッド」!?
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