世界が認めたショコラティエ、エスコヤマの小山進氏が語る、「超一流」を目指すために必要なこと
2017.05.09
「今年のコンクールに出すチョコレートを、いま50種類の創作を終えました。パリのコンクールに出品するのは4種類だから、多すぎるけれど」
開口一番、そう語るのは、フランスで最も権威のあるチョコレート愛好会「C.C.C.」(Club des Croqueurs de Chocolat)のコンクールで2011年から6年連続となる最高位の「ゴールドタブレット」を獲得、また、2011年、2013年、2014年に外国人部門最優秀ショコラティエ賞を獲得するなど世界的なショコラティエ・パティシエとして知られるパティシエ エス コヤマの小山進氏。
「これは、すべて今年のコンクールに出品するための作品です。翌年に同じものを出品することはありません。常に毎年毎年、僕はその時の自分ができる精一杯を諦めないで創る。去年よりもっとスゴイものを創りたい。だから自分ができる全力を尽くすんです。僕は『これくらいでええやん』と思ったことは生まれてこの方、一度もありません」
例えば――。小山氏は続ける。
「エスコヤマの小山ロール。これは2001年の『TVチャンピオン』という番組がきっかけでできたものです。他の参加者が華やかなデコレーションのケーキを創り、それがエスカレートしていく中、『いっそ審査員なら誰もが食べてきたであろう、その人その人の記憶の中にあるロールケーキと勝負しよう』と思って創ったものです。
それ以来、レシピは変わっていません。でも、ずっと進化しています。それはなぜか?
一年間を通じて作り続けると、夏場の湿度が高い時期にはふわふわが弱く、冬場はふわふわだが巻いたときにヒビ割れが起こりやすい。気候の変化から学びを得た小山ロールという特殊なレシピは、そんな思いも寄らないようなことを教えてくれました。そして、せっかく日本の四季が教えてくれたことを活かせるような設備が必要だという考えに行き着き、実に8年間、小山ロールを焼くためのオーブンを製造する会社と交渉して、改善を繰り返し、やっと理想のオーブンに近づけることができました。でも、その改良されたオーブンを使ってバージョンアップをした小山ロールを見ると、より良くしたいという欲求が湧いてきます。
創り手である私自身が小山ロールの一番のファンです。人がどう思うかではなく、自分がどう思っているかが重要であり、その思いが創作の源泉となります。その思いを持ち続けることができれば、ものづくりは自ずと進化していくと思うのです。
これは小山ロールに限らない。子どものころからずっと一緒ですね。追求するのがやめられない、自分のクオリティを追求し続ける、ある種のオタクですよね」
【小山進】
1964年京都生まれ。2003年兵庫県三田市に「パティシエ エス コヤマ」をオープン。
「上質感のある普通味」を核にプロフェッショナルな味を展開し続けている。フランスの最も権威のあるショコラ愛好会「C.C.C.」のコンクールでは、2011年の初出品以来、6年連続で最高位を獲得。また、インターナショナル・チョコレート・アワーズにも2013年より4年連続で出品。
2016年のアメリカ&アジア太平洋大会では、金賞を8品、銀賞を21品、銅賞3品と4年連続で多数の受賞を果たすなど、世界的なショコラティエとしてその活動の幅をますます広げている。
1964年京都生まれ。2003年兵庫県三田市に「パティシエ エス コヤマ」をオープン。
「上質感のある普通味」を核にプロフェッショナルな味を展開し続けている。フランスの最も権威のあるショコラ愛好会「C.C.C.」のコンクールでは、2011年の初出品以来、6年連続で最高位を獲得。また、インターナショナル・チョコレート・アワーズにも2013年より4年連続で出品。
2016年のアメリカ&アジア太平洋大会では、金賞を8品、銀賞を21品、銅賞3品と4年連続で多数の受賞を果たすなど、世界的なショコラティエとしてその活動の幅をますます広げている。
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