MITが注目する中国「メグビー」の顔認証技術。双子も見破り中国公安当局も活用

世界中で注目される顔認証技術

 顔認証技術は、大手グローバル企業も目をつけている分野だ。グーグルは顔認証技術を活用したショッピング決済サービス「ハンズフリー」を準備中だ。アマゾンやフェイスブック、バイドゥ(百度)もスマホの「自撮り写真」で顔認証決済が可能なサービスの開発に注力している。マイクロソフトは、ウィンドウズ10に「ウィンドウズハロー(WindowsHello)」と呼ばれる顔認証機能を取り入れた。近赤外線(IR)イメージング用に構成されたカメラを利用して認証を行いながら、デバイスのロック解除やストアでの買い物などがパスワード入力いらずとなる。  顔のひげや化粧など、外見の多少の変化にも対応しており、さまざまな照明条件のもとでも一貫性のある画像を提供することができるのだとか。  サムソン電子が先月末に新たに公開した新製品「ギャラクシーS8」にも既存の指紋認証や虹彩認証機能に加え、顔認証機能が追加されている。しかし、こちらでは画面ロック解除用だけに使われており、決済など他サービスには使われていない。  分野を問わず、数多くのグローバル企業に革新をもたらしているメグビー。もともと、同社・最高技術責任者(CTO)である唐文斌(タン・ウェンビン:Wenbin Tang)氏は2011年当時、清華大学に在学していた。彼は学校主催のビジネスプランコンテストのために数人の同級生とともに、あるゲームを開発した。顔認証技術を取り入れた同ゲームはコンテストで特等賞を受賞。アップルストア(中国地域・2012年基準)ゲームのダウンロード数においてランキング5位に名を連ねた。  このゲームを開発した大学の開発チームは、中国の起業支援企業「イノベーション工場」(Innovation Works:創新工場)から数百万ドルの資金を得た。清華大学卒業後には米ニューヨークコロンビア大学へ留学し、3Dコンピューター映像分野の修士・博士課程を踏みながら研究を続けた。
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わずか2年足らずで世界一に
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