銀座松坂屋跡に誕生する「GINZA SIX」徹底解剖――「脱・百貨店」は「新・百貨店」だった!
一方で、同じく百貨店跡に同時期に開業した新施設として「GINZA SIXの最大のライバル」と言われる「東急プラザ銀座」(2016年3月開業)はというと、館内に東急百貨店による大型セレクトショップ「HINKA RINKA」こそ出店しているものの、東急ハンズの新業態店舗「HANDS EXPO」をはじめとした幅広い価格帯の雑貨店、外国人観光客をターゲットとした免税店、そしてレストラン街に加えて比較的安価なフードコートを集客の要としており、家電メーカーの体験型ショールームも設置されるなど、銀座らしさに加えてアミューズメント性を備えた「ターゲットの広い複合商業施設」としての性格が強く、その内容はGINZA SIXとは一線を画している。
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【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」
※都商研ニュースでは、今回の記事のほかにも下記のような記事を掲載中
・イーアス高尾、6月22日開業-八王子最大級のショッピングセンターに
・ニトリ渋谷店、2017年6月ごろ開店-丸井・シダックス跡に「都心初」単独旗艦店
・ライザップ、ジーンズメイトを子会社化
銀座界隈では長きに亘り「銀座三越」、「銀座松屋」、「銀座松坂屋」をはじめ、「数寄屋橋阪急」、「有楽町そごう」、「有楽町阪急」、「有楽町西武」、「プランタン銀座」など、多くの百貨店が凌ぎを削ってきた。しかし、覇権を握っていた「銀座三越」と「松屋銀座」の牙城を崩すことはできず、2000年以降はその多くが百貨店との棲み分けのために専門店ビルやファッションビルへと姿を変えるという流れが起きていた。
そうした流れは、銀座初の百貨店であった「銀座松坂屋」の経営にも影響を与えており、2000年以降は松坂屋の館内にも家電量販店・免税店「ラオックス」、イオン系シューズ専門店「アスビー」、大手雑貨店「無印良品」などの大型テナントが出店。百貨店としての売場面積は削減されていた。
しかし、新たに誕生したGINZA SIXは、他の銀座の百貨店跡に生まれた商業施設とは大きく異なり、かつてあった百貨店よりも「更なる高級化」を目指した内容で、まさに同地に深く根を張る「銀座松坂屋の百貨店としての遺伝子」を受け継ぐ施設になったといえよう。
銀座松坂屋の閉店から約4年ぶりに新たな灯がともる銀座6丁目。
果たして、「古くて新しい百貨店」GINZA SIXは、低迷する百貨店業界の“希望の星”となることができるのであろうか。
<取材・文・撮影/
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」
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