2013年は厚生労働省が全国約4000人を対象に行ったが、今回は約1000人。調査対象数に4倍の開きがある。ただこの点については大きな問題にはならない。統計学の見地では、1000人と4000人では統計的な誤差に大差はない。
テレビや新聞の世論調査がおよそ1000人~1500人の間で行われているのは、それが統計学的には信頼性のある数値を担保できる調査人数であるからだ。ちなみに、今回の調査は、今秋までに行う10000人調査の予備調査の結果であることを付け加えておきたい。
それよりも前回と今回の調査の大きな違いは、たぶんその方法である。前回の調査においてはアンケート調査であったが、今回の調査は面談調査である。質問項目に対する調査深度で言えば、紙によるアンケート調査より、はるかに信頼度は増している。
また今回の調査を請け負った、国立病院機構久里浜医療センターは、アルコール依存やネット依存など依存問題に専門的に取り組む機関であり、2013年からは病的ギャンブリングについての研究を専門的に行っている。今後の日本のギャンブル依存問題研究の拠点となるセンターなのだ。
今回の調査結果が、前回の調査結果に比べ大きく「改善」されたからといって、日本が抱えるギャンブル依存問題の位置付けがランクダウンした訳ではない。カジノの設置に向けた動きの中で、ギャンブル依存に関しては徹底的な対策が必要であろうし、公的ギャンブルやパチンコも今以上に対策対応を強いられるであろう。
特にパチンコは、直近1年のギャンブル依存の疑いがある人が62万人として、仮にその内の7割の人の主因が「パチンコ」であれば、1店舗当たり43人ものギャンブル依存問題を抱える人がいるという事になる。これはこれで深刻な数字だ。
パチンコ店への入場規制強化や、家族からの申告も受諾出来る自己排除(自己申告)プログラムの整備、依存問題を抱える人への回復支援等、様々な問題解決に向けてより一層の対策を講じていくことに期待したい。
<文・安達 夕>