2015年に完成した新たな豊島区役所。 分譲マンション部分は早期に完売し、「実質建設費ゼロ」を成し遂げて注目を集めた
また、2015年に完成した新たな豊島区役所庁舎(写真)も、区のイメージアップに一役買っている。
新庁舎は、大手ディベロッパーの東京建物などと共同で整備されたもので、地上49階・地下3階建て。デザインは有名建築家・隈研吾氏が手がけた。そして、その最大の特徴は、上層階が大型タワーマンションとなっていることだ。
この新庁舎は、豊島区の住環境・都市景観の向上にも寄与したばかりか、懸案だった新区役所の建設費用の全てが新庁舎に併設された分譲マンションの販売収入と先述した旧庁舎跡の定期借地料によって賄われ、新たなまちづくりのための財源確保にも繋がることとなった。
区役所の最上階となる10階には、かつて自然豊かだった時代の豊島区の植生や生態など自然のしくみを学ぶことができる屋上庭園が設けられており、区民の憩いの場にも、そして子供たちの教育の場にもなっている。
区役所に設置された屋上庭園。 川も設けられており、子供たちの自然教育の場にもなっている
このほかにも「育む」をキーワードに、親子世代が安心・安全に暮らせるまちを目指した取り組みも進んでいる。池袋保健所では大手書店「くまざわ書店」の協力のもと「鬼子母神plus」と題して子育て関連の書籍・展示コーナーを開設したほか、新たに区による妊婦や子育て期間中の母親への相談なども開始された。
さらに、池袋駅の周辺では、商店会による夜の街のパトロール強化、悪質な客引き・ぼったくり防止策の強化など、行政・企業・地域住民などが協力するかたちで、安心・安全に暮らせるまちを目指した様々な施策も行われるようになっている。
こうした取り組みにより、近年は池袋駅周辺の刑法犯件数も減少傾向にあるといい、「女性にやさしいまち」へと生まれ変わる努力があらゆる分野へ広がりを見せることで、豊島区は「男女を問わず誰にとってもやさしいまち」へと変化を遂げつつある。
池袋の夜の街も以前よりずいぶん安全なものとなった
官民双方が協力するかたちで「女性にやさしいまちづくり」をおこない、地域のイメージアップをはかることで「住みたい街1位」へと躍り出た池袋。
東京23区唯一の「消滅可能性都市」豊島区は、行政と住民双方の努力により「消滅阻止」への道を一歩一歩着実に歩み始めている。
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
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