ついに「ロケット再使用打ち上げ」に成功!イーロン・マスク悲願達成の意義と可能性

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「ファルコン9」ロケットにとって初めての再使用打ち上げ Image Credit: SpaceX

 宇宙へ飛んだロケットが、垂直に着陸し、また飛んで、そして帰ってくる――。そんなSF映画のような光景が、ついに現実のものになった。  実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙企業「スペースX」は3月31日7時27分(日本時間)、通信衛星を載せた「ファルコン9」ロケットを打ち上げた。  このロケットの機体は昨年4月、国際宇宙ステーションに補給物資を運ぶために一度打ち上げられたもので、その後回収され、整備を経て、この日ふたたび宇宙へ打ち上げられたのである。  機体の再使用、つまり“中古”の機体にもかかわらず、ロケットは順調に飛行し、打ち上げは成功。さらにふたたび回収にも成功し、宇宙開発の歴史に新たな一ページを刻んだ。  スペースXがロケットの再使用を行う背景には、ロケットの打ち上げコストを削減するという狙いがある。  現在のロケットは、打ち上げごとに新しい機体を造っては捨てており、1回の打ち上げあたりのコストは100億円ほどにもなる。しかしスペースXは、ロケットを旅客機のように再使用できるようにすることで、このコストを100分の1、つまり約1億円で宇宙に人工衛星や宇宙船を飛ばせるようになると考えている。  今回の成功で、その可能性に向けた扉は開かれた。しかし、大事なのはまだこれからである。

旅客機のようなロケットを目指して

「ここにたどり着くまでに、15年もの年月がかかりました。とても長く、険しい道のりでした」  3月31日、ロケットの再使用打ち上げに成功し、さらに再回収にも成功した直後、スペースXのイーロン・マスク氏はこのように、これまでの苦労を振り返った。  スペースXが立ち上げられたのは2002年のこと。ロケットの再使用に向けた研究・開発が本格化したのは2011年からだったが、マスク氏にとっては設立以来、15年にわたって追い続けてきた目標のひとつだった。  マスク氏はスペースXを立ち上げた目的を、人々が宇宙で生活できるようにするためと語る。人類の宇宙進出が実現すれば、人類の生活圏が広がれば経済は発展し、さまざまな惑星を探検することもできる。そして、もし地球が滅びても、人類という種が生きていくための保険にもなる。  しかし、その目的をさまたげる大きな壁が存在した。ロケットのコスト、価格である。標準的な大きさ、重さの人工衛星や宇宙船を打ち上げられる大型ロケットは、1機を製造するのにおおよそ100億円前後のコストがかかっており、そこにいくらかを足した金額が実際の販売価格となる。スペースXのファルコン9は、使い捨ての場合でも他のロケットより安いものの、それでも1機あたり70億円はする。  しかもロケットは打ち上げごとに使い捨てられるため、1回の打ち上げごとに、同じだけのコスト、価格がかかる。これでは到底、人類が宇宙に進出することはできない。  そこでスペースXが挑んだのが再使用だった。マスク氏はロケットの再使用について語る際、よく旅客機を例に挙げる。ある空港から空港まで飛行した旅客機は、乗客や荷物を降ろしたのち、簡単なメンテナンスを経て、ふたたび新しい乗客や荷物を乗せて離陸する。間違っても飛行ごとに機体を使い捨てたりはしない。  だからロケットも同じように、同じ機体をなんども使いまわせるようにすれば、コストは下がり、価格も下げられるはずなのだ、と。
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「再利用」でどれだけ安くなる!?
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