「速読」は科学的に不可能だと証明される。最も有効なのは「飛ばし読み」スキルを上げること

重要なのは、速度よりも情報の取捨選択力

 ただし、速読の可能性が完全に消えたかといえば、そうではありません。研究チームは、論文の最後を次のようにまとめています。 『これまでの研究をまとめると、速読のトレーニングにより、深い理解を保ったまま読書のスピードが上がるという科学的な根拠はない。速読でスピーディに読書が終わるのは、飛ばし読みがうまくなった場合だけだ。(中略)飛ばし読みは、大量の情報を処理するための重要なスキルである』  つまり、真の速読とは、せんじつめれば「飛ばし読み」の技術に過ぎないのです。  が、たかが飛ばし読みと侮るなかれ。本の内容をざっくりつかむ技術を海外では「スキミング」や「スキャニング」と呼び、ケンブリッジ大学などでも昔から教えられてきた由緒あるテクニックなのです(2)。  その方法論は多岐にわたりますが、ここでは基本的なポイントに絞ってご紹介しましょう。 ステップ1.プレ読書  まずは本の下調べからスタート。本の目次、各章や節の見出し、著者の履歴などをチェックし、「そもそも何の本なのか?」を明確にしましょう。各チャプターの最初と最後のパラグラフだけを読んでみるのも有効です。  プレ読書の段階では、自分に対して以下の質問を投げかけながら行うのが効果的です。 ・このタイトルからどんな内容が想像できるだろう? ・この著者はどんな内容を書きそうだろう? ・章や節の見出しからわかることはなんだろうか?

読書のゴールを決めることで全ページ読まなくてもよくなる

ステップ2.ゴール設定  次に大事なのが、読書の目標を決めることです。  たとえば「最新の情報にキャッチアップしたい」でも、「時間管理の方法を学びたい」でも、「英語の効率的な勉強法を知りたい」でも何でもかまいません。プレ読書でわかった情報をもとに、「自分はこの本から何を得たいのか?」を明確にしていきましょう。  読書のゴールがハッキリした時点で、読むべきページは大幅に減ります。ワンテーマで書かれた新書などは、全体の10分の1を読めば十分というケースも少なくありません。 ステップ3.速読  続いて速読に移ります。つねに読書のゴールを意識しながら、最後までサッと読んでみましょう。このときには、定期的に以下の問いを自分に投げかけていくのが有効です。 ・読書のゴールに沿った重要なポイントは見つかったか? ・議論の前提と結論はつかめているか?  速読が上手い人であれば、実はこの時点で読書を終えることも可能です。しかし、慣れないうちは「本当にこれで理解できたのだろうか……?」という不安がつきまとうでしょう。  その場合は、ややスピードは落ちますが、以下の方法を試してください。 ・読書のゴールに沿った結論やテーマだと見えるものに、片っ端からペンでチェックマークをつけていく。 ・それ以外にも、直感的に自分が重要だと思ったセクションや文章にも適当な目印をつけておく。 ひととおりチェックが終わったら、次のステップに進みます。
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“再速読”スキルが上がれば新書なら10分で読了可能
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