ここには”東北の英雄”ザ・グレート・サスケや、山形出身の井上京子、路上プロレスを確立させたDDTの高木三四郎など有名選手らが参戦。一試合闘っている疲れを見せず、熱戦を繰り広げた。
サスケが強烈なパイルドライバー!
「ローカル線プロレス」は、ただプロレスを見せるだけのイベントではない。試合前には子どもたちがリングに上がり、長井商工会議所のキャラクター「バーニック・ナガイ」(長井市は馬肉料理の文化をもつ)と一緒に遊んだり、プロレスラーと相撲をとったりする。
リングそばには屋台が並んでいる。馬肉料理だけでなく、山形牛を使った牛丼や、魚の串焼きなど様々なご当地グルメを楽しむことができる、ちょっとした物産展だ。筆者は牛丼を食べたが、肉の柔らかさと旨味に驚かされた。
これがリング!?
インパクトある企画でプロレスファンや鉄道ファン、多数のマスコミを呼び込み、長井市の名前と名産品を売り込む。さらに地元の人々にはライブのプロレスを楽しんでもらう。関わった人すべてが幸せになる企画だ。
筆者が帰るため再び長井線に乗ると、長井の人たちが笑顔で手を振り送り出してくれた。
第1回記事で、プロレスの魅力は闘いを通して勇気や元気をもらえると述べたが、この時見た試合と長井の人々の笑顔は決して忘れないだろう。
実行会委員による最後のあいさつでは「長井の私たちは誰かが楽しませてくれるのを待つのではなく、自分たちで楽しくしていくんです」と呼びかけていたが、「ローカル線プロレス」は地域振興イベントの理想形のひとつだ。
この企画は好評を博し継続され、2016年10月に第2回大会が開催。第3回も計画中とのことだ。
ヒット企画を単純に模倣するのではなく創意工夫を加え、さらには地域活性化と結びつけてしまう。これがローカルプロレスの柔軟性であり素晴らしさだ。
町・地域起こしを考えているのなら、近隣のローカルプロレス団体にあたってみてはどうだろうか。プロレスだからこそ実現できる、明るく楽しく、そして熱い企画が生まれるかもしれない。
<文・たこ焼きマシン>
【たこ焼きマシン】
名古屋在住のローカルプロレス探求家。ローカルプロレスファンサイト
たこ焼きマシン.com、
スーパーたこ焼きマシン.comを運営。北海道から沖縄、台湾まで未知のプロレスを求め観戦に遠征する。ご当地プロレスラーガイドブック『ローカルプロレスラー図鑑』をクラウドファンディングで発行。
オンラインストア元・小中学校教員、障害者職業能力開発校講師。夢は世界中すべてのご当地プロレスを観戦しての『ワールドローカルプロレスラー図鑑』制作。