選手が客に助けを求めることも!
単なる場外戦のみに留まらず、既存のプロレスルールも組み込まれているのがSRSの特徴だ。
プロレスは技をかけていても、競技者どちらかの体がロープに触れる、あるいは一部がロープ外に出れば解除しなくてはならない、ロープブレイク(エスケープ)ルールがある。しかし、SRSはリングを使用しないので当然ロープはない。それでは絞め技や関節技を出せば圧倒的有利になる。
そこでロープの代わりとなるのは客だ。客の手をつかめばブレイクとなる。新人や人気選手が絞められていれば客が次々と手を伸ばし、悪い・強い選手には引っ込める。まさに観客参加型のプロレスだ。
このルールが話題を呼び、スポルティーバは名古屋駅そばのビアガーデンと提携。期間限定の催しもの・出張プロレスで人気を博した。
連結車内でレスラーが連結!
プロレスラーはどこでだって闘える。その究極形のひとつが、2015年7月に開催された「ローカル線プロレス」だ。
列車、それも走っている車両内で闘うのだ。山形県の長井市地域おこし協力隊が山形鉄道、東北のローカルプロレス団体・みちのくプロレスとタッグを組み実現させた企画だ。
観客の集合場所、赤井駅
観客は山形鉄道・フラワー長井線始発の赤湯駅で、2両編成のうち「リング兼観客席車両」に乗車する。次の南陽市役所駅で選手たちが「控室車両」に乗り込む。
駅前駐車場にリングと屋台がたち並ぶ
まず2選手が「リングイン」して試合開始。時間が経過するごとに選手が続々と参戦し、負けた選手は退場する「時間差バトルロイヤル」だ。決して広くはない車両の中で、選手が絞め技で数珠つなぎになったり、通路でランニングキックを放ったりする。
先日、滋賀県警の男性署員が女性署員にかけてセクハラ行為と言われたロメロスペシャル(吊り天井固め)まで繰り出す選手までいる。
通常のプロレスでは絶対に場外で繰り出されない技、ロメロメスペシャル
通常のバトルロイヤルは最後のひとりになるまで試合は続く。しかし、この試合は終着・長井駅に到着すれば終了。残っていた選手がすべて勝利者だ。
高倍率となったチケット
しかし、闘いはまだ終わらない。選手たちは移動し、駅前特設リングで通常ルールの試合もするのだ。車内での闘いは50名ほどの選ばれた観客(いまの時代に往復ハガキで応募)のみが観戦できたが、今度は地元・長井市の人々へプロレスを届ける時間だ。