日本各地で進む地域密着型の高速通信 その目的と展望は

さまざまな導入事例

 HCEは展示会で阪急阪神ホールディングス傘下の地域事業者をまとめて導入事例を展示し、気象観測カメラ、安全・安心見守りネットワーク、インターネットサービスが紹介された。  気象観測カメラは屋外に設置されたカメラで河川を撮影し、地域BWA高度化方式の通信回線を通じてインターネット上で河川の状況を配信しており、誰でもインターネットを通じて確認できる。  安全・安心見守りネットワークは伊丹市で実施しており、2017年1月末時点で900台の安全安心見守りカメラを設置し、通信回線に地域BWA高度化方式を用いる。  インターネットサービスは地域住民向け無線通信サービスで、通信速度は下り最大110Mbpsである。速度制限なし、容量制限なし、配線工事なしを特徴とし、端末は可搬型または据置型の無線LANルータを貸与扱いで提供する。2017年2月時点で加入件数はHCEが400件弱、ベイコムが約4,000件である。また、ZTVは数十件程度という。展示会では無線LANルータのほかに、地域BWA高度化方式に対応したスマートフォンやタブレットも展示されており、阪急阪神ホールディングス傘下の地域事業者はスマートフォンやタブレットを提供していないが、電波測定など社内業務では活用していると明かした。  地域BWA制度の目的から、やはり公共サービス関連で活用を拡大させる方針という。教育機関、病院、地域振興での活用を提案しており、教育機関では教職員の通信手段や防犯カメラなど、病院では医療従事者の通信手段、医療機器の管理、徘徊監視、患者向けインターネットサービスなどの回線として活用する案がある。また、地域BWA高度化方式をバックボーンとする無線LANスポットを展開し、観光客向けに無料で開放するなど、地域振興に活用する考えもある。  地域BWA高度化方式を活用したサービスの本格展開はこれからだ。今後、身近なところで気づかぬうちに地域BWA高度化方式を用いたサービスを利用していた、ということもあるかもしれない。 <取材・文・撮影/田村和輝>
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