「市民の勝利」である朴槿恵大統領罷免を、中国官製メディアはなぜ異例の大きさで報じたのか?

中国官製メディアが韓国の「政権瓦解」を報じた理由

『環球時報』電子版は朴大統領罷免についての各国の速報を紹介

 一方、近年の急激な発展で中国は、日本以上に世代間によるデジタルデバイド(情報格差)が発生している。40代以上になるとスマートフォンはおろか、パソコンもほとんど操作できない人も珍しくない。情報機器を使いこなす若い世代は、官製メディアを見る頻度が低く、もっぱらSNSなどを通じて非官製メディアから情報を得ている。たとえば、検索エンジン大手の「百度」で、韓国と入力すると予測キーワードで朴槿恵が表示され、関連記事が合計約565万件ヒットした。以前、検索しても0件表示だった天安門事件や劉暁波(投獄中のノーベル平和賞受賞者)などでも検索されるようになっているので、国内向けのネット規制は多少は緩和しているのかもしれない。  では、なぜ今回、異例ともいえる朴槿恵失職ニュースを官製メディアが大きく取り上げたのか。政治スキャンダルであることも一因であるが、市民運動が国家元首を辞めさせたというのは、中国政府にとってリスクが高く、詳細には伝えたくない内容だ。だが、それ以上に中国政府の関心事は、韓国に本格配備が進む「THAAD」(終末高高度防衛ミサイル)なのだ。中国政府としては是が非でもTHAAD配備を中止させたく、配備を後押しするアメリカへの批判も強めている。  また中国官製メディアでは、すでに韓国の次期大統領選へ言及し始めており、親中親北・反米反日の大統領誕生で、米韓関係を冷え込ませてTHAAD配置を止めさせたいという中国政府の思惑が見え隠れしている。  2月8日の韓国『統一日報』が、昨年10月末から韓国各地で行われていた朴大統領辞任を求めるローソク集会へ韓国留学中の中国人6万人を動員していると報じるなど、中国政府は、THAAD配備阻止1点に絞り、早くから動いていた疑惑も指摘されている。 <取材・文/我妻伊都 Twitter ID=@ito_wagatsuma> 参照 http://news.onekoreanews.net/detail.php?number=82180&thread=01r02 http://world.people.com.cn/n1/2017/0310/c1002-29137625.html
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