トランプショックで下落した米航空会社株。いまこそ「買い」?

2016年の世界の航空旅客数は過去最高の37億人へ

 2月2日、IATA(国際航空輸送協会)はプレスリリースで、「Another Strong Year for Air Travel Demand in 2016」(2016年は航空旅行需要のもう一つの強い年)というリポートを発表した。(参照)  同リポートによれば、2016年の世界の航空乗客数は、有償旅客の輸送距離となる有償旅客キロ(RPK : revenue passenger kilometers)が前年比6.3%増(うるう年効果を調整すると6.0%増)と、需要の増加を示しているという。そして、この強いパフォーマンスは、過去10年間の成長率の平均値の5.5%を上回っており、2015年と比較しても、座席数は6.2%増加(調整無し)し、座席利用率(ロードファクター)を0.1ポイント増加させ、過去最高の80.5%へ押し上げる結果になったとしている。  Alexandre de Juniac(アレクサンドル・ド・ジュニアック)IATA事務総長兼CEOによれば、その背景には“700以上の新ルートの開設により、コネクティビティが充実した。それに、往復運賃の平均価格が44ドル安くなり、空の旅がアクセスしやすいものになった”ことが考えられると指摘し、”結果として、過去最高の37億人が目的地に向かい安全な空の旅をした。航空需要は引き続き拡大基調にある“という。  事実、2016年の国際線の旅客数の伸び率では、中近東が最も高く(有償旅客キロ;+11.8%、座席供給;+13.7%)、2番がアジア(有償旅客キロ;+11.8%、座席供給;+13.7%)であった。北アメリカ(有償旅客キロ;+2.6%、座席供給;+3.3%)が興味深い。牽引役は太平洋路線であった。対して、大西洋路線は横ばいで推移した。北アメリカとアジアを結ぶルートは伸びている。

成長を見込む報告は多い

 他のさまざまな調査でも、同様の成長を見込むリポートがある。  例えば、国土交通省による世界の航空旅客輸送量予測(2005年~2025年)では、2025年までの世界の航空旅客輸送において、最も伸びが著しいのはアジア太平洋地域(年平均+5.8%)であり、輸送量も2005年に比べ約3倍に増加し、世界最大の航空市場に成長すると予想されている。(参照:「航空を取り巻く社会情勢等について」)  また、Airports Council International(国際空港協議会;1991年に設立された、国際空港の管理者の団体。179の国、地域の1650の空港を運営する580の団体が加盟している。本部は、2010年からカナダのモントリオール)によると、2015年から2040年までの航空旅客数は、年平均4.9%で成長する。2040年における最大の市場はアジア太平洋地域(世界シェア;2015年34%から2040年47%へ)であるが、成長率だけを見ると、中東が年平均+7.7%でトップ(ただし、世界シェアは2040年9%の予想)、アジア太平洋地域が年平均+6.2%で2位である。(参照
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