東日本大震災から6年――復興のカギは「商店街」?! 商店街受難の時代、その集客策とは

人口減少、競争激化……「商店街受難の時代」

女川町の「シーパルピア女川」は2015年末に開業。 2016年末には施設内に物産館「ハマテラス」がオープンするなど、商業復興を目指す津波被災地のトップランナー的存在となっている

 実は、東日本大震災の津波被災地で、町の新たな「核」として多くの賑わいを生み出してきたのが各地の「仮設商店街」であった。そうした各地の仮設商店街も、震災から6年を経て大きな変化を遂げようとしている。  今春は、先述した宮城県南三陸町の「南三陸さんさん商店街」や「伊里前福幸(ふっこう)商店街」に加えて岩手県大船渡市の「おおふなと夢商店街」が「本設」の新商店街へと移行。また、仮設で営業する一部商店がまちの賑わい拠点として新設される商業施設への入居を決めるケースもあるなど、「仮設から本設商店街へ」という流れが顕著になってきている。  しかし、全国各地でこうしたいわゆる「商店街」が苦戦しているのは周知の事実だ。各地で商店街の本設化や商業施設の建設が相次ぐ一方、今後の継続的な集客の確保には不安がつきまとう。  さんさん商店街をはじめとした仮設商店街の多くは、震災以前より続く人口減少や、まちに住み込みで働いていた復旧工事関係者の減少、既存大型商業施設との競争などにより、開業当初と比べるとその利用者数は減少傾向にある。  そのため、仮設商店街に入居していた商店の中には、本設移転により跳ね上がる賃料と売上見込みの兼ね合いから、仮設の退去期限とともに休廃業を決断する商店主も多いという。  さらに、2015年12月に開業した「シーパルピア女川」(宮城県女川町)や、2018年春以降に開業予定の「内湾スロー村(仮称)」(宮城県気仙沼市)、同じく2018年度にリニューアルオープン予定の「道の駅たろう」(岩手県宮古市)など、各地で復興にあわせた「観光型複合商業施設」の整備も盛んになっており、復興の進行とともに被災地広域を舞台とした復興施設同士の「新たな競争」も激化することになる。

気仙沼市の内湾地区では観光型商業施設「気仙沼スロー村(仮称)」の開業に向けたかさ上げ工事などが進む

 特に、女川町のシーパルピアと今回オープンした南三陸さんさん商店街は、東北自動車道仙台宮城IC(仙台市)からの所要時間が大きく変わらないことや、テナント数(女川:27店舗+物産施設「ハマテラス」、南三陸:28店舗)、海の幸を使った名物丼(女川:「女川丼」、南三陸:「キラキラ丼」)の存在など、類似点が多い。  そのため、観光客の移動時間に加えて営業時間などの時間的制約を考慮すると、条件が近いこれらの商業施設同士では「客の取り合い」が起こるものと予想される。
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集客確保はあの手この手で
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