資産家の皇太子、日本人職人によって躍進するマレーシアのサッカークラブ「ジョホール・ダルル・タクジム」

JDTのグラウンキーパーを務める廣井功一さん

 マレーシア国内だけでなく東南アジア全体で見ても屈指の設備を保有しているJTDだが、その維持・管理にはひとりの日本人が大きく関わっている。  白いハンチング帽がトレードマークの廣井功一さんは、マレーシアのサッカー界で広くその名を知られる芝管理のスペシャリスト。イスマイル皇太子からも絶大な信頼を受けており、JDTが保有するスタジアムや練習場の天然芝のすべてを管理している。  1964年の東京オリンピックの際に都内の高級ホテルに勤務していた廣井さんは、世界中から訪れた人々との交流の楽しさに心惹かれて、海外で仕事をすることを決意。その後、イランやドイツ、インドネシアなどでホテルやゴルフ場の経営に携わり、海外生活はすでに半世紀に及ぶ。  20年前にジョホールバルで芝の販売管理を行う会社を立ち上げたが、メインの業務はゴルフコースの管理でサッカーとは無関係だった。しかし、2004年にマレーシアで開催されたAFC U-19選手権の際に、試合会場の芝管理を委託されたことをきっかけにグラウンドキーパーも手掛けるようになり、さらにジョホール王室が所有するポロ・グラウンドの管理をしていたことから、イスマイル皇太子の知遇を得てJDTの芝管理を一手に引き受けることになった。
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東南アジアのスタジアムを彩るジャパンクオリティ
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