不動産をはじめとする多くの資産を保有しているジョホール州王室は、マレーシア国内屈指の資産家一族として知られているが、巨額の費用を必要とするJDTのインフラ整備は、イスマイル皇太子ら王族のポケットマネーによって賄われているわけではないとエドワーズ氏は指摘する。
「ジョホール州では『イスカンダル計画』と呼ばれる国家規模の開発計画が進められており、マレーシアの国内企業だけでなく、中国をはじめとする外資系業者も乗り出してきています。こうした企業の開発への参加が認可される条件の1つとして、ジョホールの人々に貢献する施設などへの投資が求められています。サッカースタジアムやアカデミー、屋内練習場などもその一環として、開発業者から建設資金を得ているのです」
クラブ運営にあたっても、スポンサーからの収入などクラブの自前の資金で持続的なビジネスモデルを作ることが目指されているという。イスマイル皇太子は現在JDTのオーナーとしてクラブの全権を掌握しているが、これはクラブが選手獲得やインフラ整備に使える白紙小切手を持っていることを意味するものではなく、あくまでも地に足を付けた形でクラブが成長することが目標となっている。