2020年、芸人大淘汰時代が到来する!?

「2020年問題」といえば、団塊ジュニア世代の高齢化にともなうポスト不足や人件費負担増、または五輪バブルの後遺症として懸念される消費低迷や地価暴落などを指すことが一般的。しかし、3年後への懸念を抱える経済だけでない。 「芸人の世界にとっても2020年は重大なタイミングになると思います」と語るのは、“元芸人”のユウキロック氏。「M-1」準優勝、「爆笑オンエアバトルチャンピオン大会」優勝、そして、渋谷公会堂での初の単独お笑いライブ開催……と輝かしいキャリアを築きながら、2014年に解散したハリガネロックのボケ担当だった男は「お笑い界は世間の空気や景気の影響を強く受けるので、2020年の東京オリンピックは芸人たちにとっても“辞め時”を意識する一つの転換点になる」と指摘する。
ユウキロック氏

今回語ってくれたユウキロック氏

――ユウキロックさんはコンビ解散や芸人引退の波が、まもなく押し寄せるのではないかと以前から指摘されていました。 ユウキロック:うまくいかない状態が続いていても、解散や引退といった決断は長くやっていればいるほど簡単には下せないので、そういった意味では2020年を区切りと考える芸人は少なくないと思います。2020年までは、なんだかんだいっていろんな仕事があると思うんですよ。でも、だからこそ辞めるやったら今。オリンピック後に辞めたら、芸人としても仕事もないし、別の仕事を始めるのも難しい。ホンマになにもない。逆に続けるのならば、「2020年までには売れてやる」という闘志で毎日を生きてほしいと思います。 ――“区切り”を考えている芸人さんたちは、その後のことをどのように考えているのでしょうか? ユウキロック:大半はそんなに先のことまで考えないんじゃないでしょうか。ただ、芸人のセカンドキャリア問題は深刻だと思いますよ。今がパッとしていない状況なら、区切りを待たずにすぐにでも環境を変えたり、新しいチャレンジしたりするべきです。お笑いとは全然違う分野でも自分の強みを発揮できるポイントがあれば、それを活かした仕事をしながら芸人を続けることもできますし。 ――確かに「占い」や「グルメ」、「収納」などお笑いと違う分野で脚光を浴びる芸人さんや元芸人さんが近年、増えています。このようにして活躍のバリエーションが増えた理由はなんだとお考えですか? ユウキロック:基本的に芸人は真面目なんです。で、喋りも当然うまいし、面白く伝える工夫をとことん考える。ほかのジャンルでも詳しければ、お固い専門家ではなく、芸人にその役割が回ってくるのは自然なことだと思います。テレビにはそういった需要が多くあるので。ただ、現役の芸人ならそういった仕事をしていても「芸人の仕事をした」とは思っていないはずです。知名度を上げて、収入を安定させて、長く芸人を続けようという戦略のひとつなのではないでしょうか。
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かつての「芸人」ポジションが不明確に
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芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。