不自然極まりない「軍歌を歌う幼稚園」運営法人の国有地取得の経緯

溢れる矛盾と問題点

 だがこの主張は不自然極まりない。第一、この財務省の説明は、朝日の報道で紹介された森友学園の籠池理事長の「(非公表を)強く求めていない。はっきりではないが、具体的な売却額は財務局が出したと記憶している」との証言と矛盾しているではないか。籠池理事長の証言が正しければ、財務省は「非公表を申し入れられていないにもかかわらず、非公表にした」ことになるではないか。  その矛盾を解決するには、「籠池理事長が、朝日の取材に対し、嘘をついた」とするしかない。籠池理事長が虚偽の証言をしたとの確証はないが、財務省の言い分と整合性を取るためには、そう解釈するしかない。もしそう解釈すると、今度は別の問題が生まれる。もし、財務省の主張通り、「地下埋設物の存在」の発覚を恐れて籠池理事長サイドが財務省に価格非公表を申し入れていたとするのならば、籠池理事長サイドは、「地下埋設物の存在」を隠して、小学校設立準備を進め児童を募集していたことになる。これはこれで大問題だ。「地下埋設物」がいかなるものか未だ不明だが、たといその「地下埋設物」が健康被害をもたらさぬものであったとしても、児童を集め教育を施すサイドとしては正確に実態を公開すべき類の情報だろう。「風評被害」などを口実に秘匿すべき話ではない。  そしてこの「地下埋設物」の存在に注視すると、本件土地取引が極めて不自然であることがより明らかになってくる。  次回、「地下埋設物」の発覚によって、二転三転する土地取引と、土地取引が前提となる学校設置認定の迷走ぶりを解説する。不自然なのは土地取引だけではない。安倍首相の夫人・昭恵氏が名誉校長を務める「瑞穂の国小学校」の設置認可そのものが、不透明な経緯をたどっている。  続報を待たれたい。 <文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)> ※菅野完氏の連載、「草の根保守の蠢動」が待望の書籍化。連載時原稿に加筆し、『日本会議の研究』として扶桑社新書より発売中。また、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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日本会議の研究

「右傾化」の淵源はどこなのか?「日本会議」とは何なのか?