選挙中のヒラリー・クリントン陣営への口撃や、メディアへの攻勢、オバマ前大統領への批判などに見てとれるように、彼は「逆らう者には容赦しない」という姿勢を一貫してとりつづけています。
彼自身、「
良くしてくれた人にはこちらも良くする。けれども不公平な扱いや不法な処遇を受けたり、不当に利用されそうになった時には徹底的に戦うというのが私の信条だ」と述べており、意図的にこうした姿勢をとっていることを認めています。
これも具体的なエピソードで見てみましょう。
トランプ氏を象徴する建築物である、ニューヨーク市の「トランプ・タワー」。この建設をめぐり、トランプ氏は当時のニューヨーク市長であったエド・コッチ氏と激しく対立します。そしてこの贅沢を極めたタワーの建設を快く思わないコッチ市長は、通常、デベロッパーに与えられる税制上の優遇措置をトランプ氏には与えないという強硬手段に出るのです。
これに激怒したトランプ氏は、専門家から「裁判をすれば莫大な費用がかかる上、勝ち目はない」と忠告されたにも関わらず、徹底抗戦の道を選びます。そして、実に6つの法廷を舞台にニューヨーク市側と大舌戦を繰り広げた末に、見事勝利をおさめるのです。
このような好戦的な態度には、多くの敵を作らせる代わりに、彼に逆らおうという者の戦意をくじく効果があると思われます。成功をおさめるには万人に好かれる必要はなく、むしろ自分の邪魔をする者を減らしていくのが早道だと考えると、この「逆らう者は徹底的につぶす」というスタンスは、ある意味で非常に効率的なのかもしれません。