メキシコ政府というとトランプ氏にやられっぱなしのイメージがありますが、今回のビデガライ外相の発言は少し違ったように思えました。
ビデガライ外相の発言でのポイントとして、筆者はあえてアボカドというキーワードを最初に持ってきている点、そして洗濯機やテレビといった所得に関係なく、誰でも日常生活で使う製品の名前を挙げている点を強調したいと思います。
メキシコからの輸入品で特に多いのは車です。しかし、今回は車といった言葉を前面に出していません。アボカドという、アメリカ人にとって日常生活で欠かせなくなっている商品を先頭に挙げているわけです。
アメリカ人はアボカド好きで、アメリカで食べるサラダには、大量のアボカドが入っているのをよく目にします。アメリカで独自の発展を遂げた寿司である「カリフォルニア・ロール」も、アボカドを使った巻き寿司なのは、誰もが知っているところ。
今回のビデガライ外相の発言は、トランプ氏に対して向けたメッセージというより、明らかに米国民が聞いているという意識の上でのメッセージでしょう。車が高くなるよと言われるのと、アボカドが高くなるよと言われるのと、どちらの方がインパクトが強いか。
車は関税のかからない中古品で安く探すことができます。しかし、アボカドはそうはいきません。アメリカでアボカドが高くなるよと言われた時の影響力や、すさまじいものがあるわけです。