左からマーカス・プレッツェル(AfD)、ヘルト・ウィルダース(オランダ自由党)フラウケ・ペトリー(AfD)、ハラルド・ヴィリムスキー(オーストリア自由党)、マリーヌ・ル・ペン(国民戦線)、マッテオ・サルヴィーニ(北部同盟) photo by Thomas Lohnes/Getty Images
現在のグローバル化された政治体制ではなく、「米国民を優先しての政治を行う」と主張して勝利したトランプ氏の米国大統領就任を受けて、それと目的を同じくするグローバル化に反対しているヨーロッパの極右政党がドイツの西部の都市コブレンツにて集会を開いた。
参加したそれぞれの政党は欧州議会で「国家と自由の欧州」という呼び名の会派を構成している。
この集会に参加したリーダーの中で特に注目を集めたのはフランス国民戦線のル・ペン党首とオランダ自由党のウィルダース党首である。何故なら、前者は次期選挙でフランスの大統領、後者はオランダの首相になる可能性があるからである。
オランダの総選挙は今年3月、フランスの大統領選挙は初回投票が4月、決戦投票が5月に予定されている。仮に両者がそれぞれ大統領と首相に就任するような事態になると、ユーロの崩壊はほぼ確実となる。そして、中東やアフリカからの移民・難民の排斥はより鮮明となる可能性が強い。
上述の欧州議会の会派の中では、フランスの「国民戦線」は1972年の創設で極右政党の中で一番古い政党である。それに続いてイタリアの「北部同盟」が1991年の創設。それ以外の参加した極右政党は、それぞれ欧州連合やユーロ通貨を通してヨーロッパでグローバル化が進んだことで、その弊害が加盟国の中で顕著になり始めた2000年代に誕生している。
例えば、オランダの「自由党」は他の政党から2006年に分離して結成された。また、ドイツで急激に支持者を増やしている政党「ドイツの為の選択肢(AfD」は2013年の創設である。特に、極右政党が急激に支持者を集めるようになったのは、中東からの難民の流入がヨーロッパにに急増し始めてからである。
特に、イタリアやギリシャに難民が絶えることなく流入するようになると、ヨーロッパの市民は自分たちの社会秩序が乱され、職場も彼らに奪われるという危機感を覚えるようになった。そして、イスラム化の浸透も懸念するようになった。