トランプの対メキシコ政策によって中国に思わぬビジネスチャンスが……

すでに昨冬、油田開発に中国が食指

 メキシコでは麻薬の栽培と密売が盛んで、それをカルテルという麻薬組織が牛耳っている。大きく分けて9つの麻薬組織が存在し、そこからまた分子が分かれて存在している。カルテルは全国レベルで蔓延っており、政治にも介入して各自治の首長を操ったりしている。彼らの指示に従わないのであれば殺害されるだけである。更に警察も給与の2倍以上の報酬を稼ぐことが出来ることからカルテルに密着して協力している警官も多くいる。2007年から2011年までにカルテルが絡んで9万5000人が殺害されている。  一般の中国企業がメキシコで投資などをして企業経営をするとなると、カルテルからの妨害を警戒せねばらないという状況に追い込まれる可能性がある。これもまた、中国がメキシコへの投資を敬遠していた理由の一つだ。  他にも、2014年に中国が高速列車の入札で一旦落札しておきながら、その後契約が破棄されたことも中国政府がメキシコへの投資を敬遠する要因となっている。  しかし、トランプが大統領になるということで、様相は一変した、と中国は見ているようだ。米国とメキシコの関係がこれから疎遠になると見た中国は、メキシコへの投資を見直すことにしたと思われる。その最初の大型投資となったのが、昨年12月にメキシコの石油公社<ぺメックス(Pemex)がメキシコ湾の北に所有する海底油田の開発を中国海洋石油総公司(CNOOC)が担う>ことの合意に達したことである。(参照:「Enernews」)  対中国包囲網を作るとしてロシアとの関係修復に尽力していると言われるトランプだが、対メキシコ政策が逆に中国を利することになる可能性も秘めているのかもしれない。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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