GAP傘下の「オールドネイビー」僅か4年で日本撤退!その原因とは?
2017.01.20
さらに、最も大きな要因として挙げられるのが、日本市場に対する需要の見誤りである。
日本国内にはすでに「GU」や「ライトオン」など、オールドネイビーと競合する業態の店舗が広く展開されている。それらの店舗のほうが北米の雰囲気をそのまま日本に持ち込んだオールドネイビーよりも取り扱い品目に幅があり、また国内の流行を取り入れる速度も速く、デザイン、サイズなどあらゆる面で日本人に合わせた商品展開をおこなうことで、消費者の支持を得ることに成功している。
もちろん、そういった「GU」や「ライトオン」などは大都市のファッションビルから地方都市の大型スーパー、郊外のショッピングセンターにまで幅広く展開しており、「オールドネイビー」よりも非常に身近な存在となっている。そのため、日本市場にはオールドネイビーが入り込む余地が少なく、覇権を握ることができなかったことも敗退の大きな要因だったのではないだろうか。
今後、GAPは日本国内でメインブランド「GAP」と、ハイブランド「バナナ・リパブリック」の2チャネルでの展開を行うという。しかし、先述の通り「GAP」の「セールを行わないと売れない」という構造は変化の兆しが見えず、ハイブランドだったはずの「バナナ・リパブリック」に至っては「日本の店舗の約半数がアウトレットモール出店」という状況になってしまっており、こちらも「セール頼み」という状況になっている。
鳴り物入りで登場した格安チャネル「オールドネイビー」を失ったいま、GAPはデフレマインドに陥っている日本の消費者の嗜好との「GAP」を埋めることができるのであろうか。起死回生の動きはまだ見えていない。
<取材・文・撮影/都市商業研究所>
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」
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