アルカイダがアフリカで勢力を伸ばしている国はリビア、マリ、ナイジェリア、ソマリア、ブルキナファソである。特に、アフリカの中央部の砂漠化が深刻なサヘル地方(モーリタニア、マリ、チャド、ニジェール、ブルキナファソ)ではアルカイダ系組織が根強い勢力を張っている。
それはマグレブ地方のアルカイダと地元で勢力を張っているアルカイダ系のアル・ムラービトゥーンによって支配され、彼らは部族の長者と絆を築いて政治的にも影響力を伸ばした。それがイスラム国との違いの一つで、イスラム国が残虐な行動をして勢力拡大に努めるのとは対照的に、アルカイダは地元の指導者らとも関係を築いて伸展している。(参照「
El Tiempo」)
例えば、ソマリアでは2012年にアルカイダに合流したアル・シャバブがイスラム国の系列組織を駆逐して勢力を拡大している。同様にサヘル地方でも、アルカイダはイスラム国の系列組織を打倒し最も強力なジハード組織になっている。ナイジェリアでは残虐な行動に走るとして悪名高い過激派組織ボコハラムが存在しているが、彼らはイスラム国と名目的な繋がりしかない。
しかし、サヘル地方でアルカイダが勢力を伸ばしているのも元を正せばリビアで独裁者カダフィが倒壊されたのが要因である。彼はアフリカの発展を望み近隣諸国を自らの意向に添わすために彼らに資金支援などをしていたのである。目指すはアフリカの統一である。また、原油の輸出で経済的にも豊かで、近隣諸国からの出稼ぎ者をリビアで雇用していた。カダフィは<「アフリカはイラクやシリアよりもあらゆる面で私の方が近い」>と良く口にしていたという。(参照「
El Pais」)