そんなトランプ氏のスピーチ原稿作りを陰で支えている人物が、スピーチライターを努めているスティーブン・ミラー氏だ。現在31歳のミラー氏は、リベラルの多いカリフォルニア州サンタモニカで生まれ育ったが、高校時代から保守系のラジオトーク番組で意見を述べるなどアグレッシブな保守派として知られた存在だった。デューク大学在学時代は保守派のオピニオンリーダーになるまでに存在感を高め、その当時から過剰なポリティカル・コレクトネスを批判し、テロリストに対する強い姿勢や国境を防衛することの重要性を主張してきたという。大統領選期間中には、トランプ氏のシニアアドバイザーに就任しており、昨年のトランプ氏のスピーチはほとんどが、同氏が書いたものだとされている。関係者からは「ライティング・マシーン」と呼ばれるほど、書くことに関しても相当な実力者だ。
このような背景の中で作り上げられたトランプ氏の大統領就任スピーチ。これまで暴言を繰り返し世間からの反発が強い同氏だが、レーガン、ケネディ両大統領のスタイルを真似ることで彼らのようなカリスマ性や風格を得ることが果たしてできるのか。いずれにせよ、世界中の関心を独り占めにする日になることは間違いなさそうだ。
<取材・文/水次祥子 photo by
Michael Vadon via flickr(CC BY-SA 2.0)>