・ウクライナを西欧陣営に組み入れようと米国が画策したことが発端となって、ウクライナは内戦となった。それにロシアが干渉したということで、米国はEUにも圧力を掛けてロシアに制裁を科した。しかし、その成果は見られず、逆にクリミアはロシアに併合され、EUはロシアからの制裁で逆に多大の損出を被る羽目になった。
・この制裁が動機となって、ロシアはアジアに目を向け、中国への天然ガスの輸出そして中国からはロシアの資源開発への投資支援などから両国が関係強化に向かった。更に、ロシアは中国にF-400の地対空ミサイルを供給した。更に、最新鋭戦闘機<Su-35の最初の4機を中国に供給した>とされている。(参照「
Sputnik」)
・EUが弱体化していく姿は昨年の英国のEU離脱の決定、そしてイタリア、フランス、オランダなどがユーロからの離脱を望んでいることから見ることが出来る。
・米国がムスリム同胞団を誘発して引き起こしたシリアの内戦はロシアとイランとの連携を強化することに繋がり、しかも、シリアでのロシアの存在を確固たるものとした。その一方で、米国はシリア紛争の終結に向けての協議から殆ど外れた立場に回されることになった。その上、長引く紛争でシリアの難民の大量流入を受けたヨーロッパは制裁による損害と難民問題の処理で二重の被害を被ることになった。
・ロシアは中国との連携のお陰で、新シルクロード建設に参加することになり中央ユーラシアを支配することに容易にさせた。
・同様に上海協力機構への参加でロシアは嘗てのソビエト連邦を形成していたカザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタンを加盟国に加えた。また、ユーラシア経済連合を結成してベラルーシ、アルメニア、及び上海機構と重複するがカザフスタン、キルギスをロシアの影響下に復帰させた。ソ連が崩壊して15か国に分散したが、この二つの組織を通してロシアを含め7か国(ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、アルメニア、ベラルーシ)がロシアのもとに嘗ての連邦とでも言える関係を復活させることになった。
・更に、昨年11月にはモルドバの大統領選挙で親ロシア派のドドン氏が勝利した。
・アゼルバイジャンはユーラシア経済連合に参加しているアルメニアと紛争を抱えているが、最近またトルコとロシアの関係が強化されつつあり、トルコと同盟関係にあるアゼルバイジャンはトルコと一緒にユーラシア経済連合に参加する可能性があると言われている。
以上から、嘗てソ連を構成していた15か国の中で、ロシアを含めて7か国(ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、アルメニア、ベラルーシ)はロシア連邦共和国の勢力下に復帰することになった。アゼルバイジャンとモルドバはロシアとの関係は今後強まる。もちろん、ロシアとの距離を保つ国もある。