ショッピングモール1階にあるチケット発券カウンター
外国映画に対して年間34本の許可制という規制を設けて上映制限をしている中国だが、実はここには抜け穴が存在する。合作映画は、国産映画としてカウントされるのだ。その結果、中国で上映させるために近年、合作映画が増えており、中国人の客やスポンサー企業を意識した映画にするため中国人俳優を起用したり、舞台が中国だったり、中国製の牛乳がさり気なく登場したりなどの映画が増えつつある。
米中合作映画の一例として、1984年上映の『ベスト・キッド』のリメイク版が2010年に上映されたが、沖縄出身の日本人が琉球空手を教えていじめっ子に勝つというストーリーが、舞台はアメリカから北京へ。空手はカンフーへと変わり、主人公が痛めた箇所を治す不思議な治療も空手や合気道などにもある「気圧」から中国医療の「吸玉」へと変わっている。
中国は映画を成長産業であると同時に中国文化を世界へ発信する手段と位置づけており、中国の影響力を拡大させるために活用しようとしているのである。
娯楽の少ない中国では、数少ない家族で楽しめる場所として映画館が定着化しつつあり、今後も映画市場は拡大すると予想される。『新華社』は2020年には中国の映画市場は1000億元(約1兆6890億円)となりアメリカの市場規模を超えると報じている。
現在、1人あたりの年間映画観賞回数は北米4回、中国1.7回となっており、中国映画市場はまだまだ拡大する伸びしろを感じさせる。今、中国の映画業界では、中国資本100%のハリウッド映画誕生を心待ちにしており、それも時間の問題と言われている。
<取材・文・撮影/我妻伊都(TwitterID:
@Ito_wagatsuma>