米中、日中etc.――合作映画はなぜ増える?急成長する中国の映画産業。その特殊事情

世界的ヒットが中国でもウケるわけではない理由

中国は映画によってチケット代が異る

 しかし、必ずしも世界的ヒット作品が中国でもヒットを飛ばすかというとそういうわけではない。  というのも、中国では当然のことながら中国政府が上映許可の決定権をもっている。そのため、政治的な理由でカットや修正を加えたりで世界的な大ヒット映画でも中国では上映されないことは珍しいことではないのである。上映許可されるアメリカ映画の多くはヒーローやアクション映画であり、政治や社会問題を扱う映画は少ない。  中国にとって映画は、大ヒット映画をバンバン上映して興行収入を稼ぐことよりも国内映画を保護することや反政府的な疑念を抱かせないための思想統制に重きを置くなど各種メディアやインターネットへの規制と同じなのだ。  今後、いくら日本がいい映画を制作しても今回のように中国で上映されるかは未知数なのだ。事実、中国では数年前から日本の映画やアニメ、ドラマなどを地上波で流すことを禁止されテレビから完全に姿を消している。中国は、いわば映画も内政の一部という実に特異な国なのだ。
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庶民の娯楽として定着する映画産業
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