表情・動作分析から観る、SMAPがラストステージで見せたそれぞれの想い

他のメンバーともっと一緒にいたかった木村拓哉

 また、皆さんは木村さんの左足の向きに気付かれましたでしょうか。他のメンバーの方へ向いています。足が向かう先は心が向かう先です。木村さんは他のメンバーとまだ、もっと、一緒にいたかったのではないかと思われます。  そして、稲垣さんの目をよく観ると涙がうっすら浮かんでいます。上を向いて涙がこぼれないようにしているのではないでしょうか。表情は一見クールですが、熱い想いが目から読みとれます。最後までクールな自己像を見せるプロ魂を感じました。  次に、草彅さんの視線と引き上げられた口角。やさしいまなざしをしながら口角が引き上げられています。緩やかな幸福状態と形容しましょうか。安堵感という感情が適当でしょうか。1月の謝罪会見の表情とは打って変わって草彅さんの心の平安が映し出されたような表情でした。  香取さんの閉じられたまぶたと引き上げられた口角。彼は目を閉じて頭はやや上を向いています。目を閉じるという表情は、記憶の想起です。口角が引き上げられている幸福表情と合わせて考えると、SMAPの良き思い出を回想していたのかも知れません。  メンバーの笑顔にまたどこかで会えることを期待して、分析を終わりにします。 〈文・清水建二/イラスト・子原こう〉 【清水建二】 株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマの監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。
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微表情を見抜く技術

無意識の感情の表われ「微表情」を読み取ることで、誰でもコミュニケーションの達人になれる!