確定拠出年金に加入するならココ――金融機関ベスト3

金融機関同士の競争も熾烈になってきている

 要点をまとめると、金融機関の取捨については、口座管理料をはじめとする手数料の安さとともに、コスパに優れた投信が揃っているかどうかというポイントを両睨みで判断すべきだということだ。さらに、’17年1月からの対象拡大を控えて、これまで消極的だった金融機関同士の加入者獲得競争も熾烈化しているという。手数料の引き下げ合戦も勃発しているのだ。 「9月に楽天証券が運営管理機関の分野に参入し、コストの安さや品揃えなどでSBI証券と熾烈な競争を繰り広げています。銀行ではりそな銀行に加え、三井住友銀行、生保も日本生命・第一生命と続々と新しいプランを打ち出し、積極的な姿勢に転じています」(大江氏)  コスト面と品揃え面から総合評価を下すと、やはり競り合っている楽天証券とSBI証券が有力な選択肢として浮上してくるようだ。もっとも、「SBI証券は50本もの投信から選択できるので、ビギナーは迷ってしまって選びづらいかも」と、大江氏は指摘する。  一方、店頭での説明応対のわかりやすさやネットの使いやすさといった面も注目に値するポイントのひとつだという。その理由について、大江氏はこう語る。 「iDeCoの運用はほとんどネット取引で完結します。そのためサイトの使いやすさや利便性は重要ですし、対面でわからないことが解消できたり、しっかりと手続きが取れたりするとやはり安心できます」  まずは、金融機関によって手数料や商品ラインナップにどれほどの違いがあるのかを実際に自分の目で確かめてみるのがイチバンだ。例えば「iDeCoナビ」なら、「iDeCo」を取り扱っている金融機関を一覧表示できる。そして、商品ラインナップや手数料を見比べられるようになっている。金融機関の目星をつける際はこうしたサイトを参考にするといい。 「結局、『iDeCo』を始めるに当たって決めるべきこととは、①どの金融機関で、②毎月いくらずつ、③どういった金融商品を組み合わせて、それぞれにどの程度の比率で積み立ていくかというポイントです」(大江氏)  長期の運用となるからこそ、バランスのとれた分散投資が望ましく、その意味で複数の投信などを組み合わせるのが無難だろう。

確定拠出年金の運用はこの金融機関で!

【SBI証券】 ・手数料 加入時:3857円 積立時の費用(毎月)資産50万円未満:491円/資産50万円以上:167円/受取時:432円 ・取引商品 元本確保型3本/国内株式14本/国内債券2本/外国株式8本/外国株式(新興国)4本/外国債券5本/外国債権(新興国)1本/REIT6本 ’17年3月末までキャンペーン中で、新規加入または移換時の手数料が無料、かつ残高50万円未満の場合は月々の口座管理手数料も無料に。それ以外の期間でも年金残高が50万円以上の場合は運営管理手数料が無料になるなど、維持費がローコストで済むのが特徴。商品ラインアップも豊富 【楽天証券】 ・手数料 加入時:2777円 積立時の費用(毎月)資産10万円未満:393円/資産10万円以上:167円/受取時:432円 ・取引商品 元本確保型1本/国内株式5本/国内債券2本/外国株式3本/外国株式(新興国)1本/外国債券3本/外国債権(新興国)1本/REIT3本 ’17年末まで、残高10万円未満の口座管理手手数料が無料。また、それ以外の期間でも年間資産残高が10万円に以上の場合は、通常210円の口座管理手数料が無料になる。低コストの投資信託のラインアップも豊富。さらに一般・特定口座とNISA口座を、まとめて1つのIDで管理できる 【三井住友銀行】 ・手数料 加入時:2777円 積立時の費用(毎月)480円/受取時:432円 ・取引商品 元本確保型2本/国内株式2本/国内債券1本/外国株式1本/外国株式(新興国)1本/外国債券1本/外国債権(新興国)1本/REIT1本 総合評価ではネット証券に劣るものの、銀行業界のなかでは、りそな銀行と並んで確定拠出年金の運営に積極的な姿勢を打ち出している。口座管理手数料も比較的安価。また、申し込みも全店舗で可能かつ、店頭での説明応対もわかりやすく高評価。ネットやコールセンターを通した対応も充実 【大江加代氏】 ファイナンシャルプランナー。「確定拠出年金教育協会」理事兼主任研究員。大学卒業後、野村證券入社。確定拠出年金の制度企画や運営管理、多くの上場企業での制度導入支援に携わる。同社退社後、’14年より現職 取材・文/大西洋平 ― 確定拠出年金で700万円稼ぐ方法 ―
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