宇宙の宅配便「こうのとり」6号機、打ち上げ成功!宇宙開発と人類の未来を背負った日本の挑戦

宇宙の宅配便「こうのとり」

国際宇宙ステーションに到着した「こうのとり」6号機 Image Credit: NASA

 国際宇宙ステーションで宇宙飛行士が生活するためには、地球から定期的に物資を補給することが必要不可欠となっている。アニメや映画の世界と違い、人が宇宙で自給自足できるような技術はまだ実現しておらず、水や酸素、食料など、人が生きる上で必要なものは地球から持ち込まねばならないのである(ただし現時点でも、尿を飲料水に変えたり、水を電気分解して酸素を取り出したりといった、限定的な自給自足は行われている)。  そうした物資補給の一翼を担っているのが、日本の補給機「こうのとり」である。全長約10m、直径約4m、巨大なビール缶のような形をしている。内部には最大約6トンの物資を搭載することができる。 「こうのとり」は2009年に初めて打ち上げられて以来、年1機ほどのペースで打ち上げが続いており、パートナーであるロシアや米国が運用する他の補給船(かつては欧州も運用)と共に、国際宇宙ステーションの運用を支え続けている。

重要度高まる「こうのとり」

 これら補給船は、それぞれ違った特徴をもっており、それを活かして貢献を続けている。たとえば日本の「こうのとり」は一度に大量の荷物を運ぶことができるが、打ち上げ回数は少ない。一方、ロシアや米国の補給船は、一度に運べる荷物の量は「こうのとり」より少ないものの、その代わり打ち上げ頻度が高い。また、「こうのとり」は大きな荷物を運ぶことができるが、燃料などは運ぶことができない。一方ロシアの補給船は小さな荷物しか運べないが、燃料を運び、国際宇宙ステーションに補給することもできる。さらに米国の補給船の一つは、国際宇宙ステーションから物資を地球に持ち帰ることもできる。  もし一機の補給船のみで、これらすべての機能を実現しようとすると、大きく重く、複雑な、扱いづらい機体になってしまう。それぞれ異なる特徴をもつことは、国際宇宙ステーションという存在を最大限に有効活用するという点で大いに役立っている。  また、そして物資の補給を途切れさせないという点でも、大きな利点となっている。2014年に米国の補給船の1機が打ち上げに失敗したが、ロシアの補給船と、米国のもう一つの補給船、そして「こうのとり」もあったため、補給が途絶えることはなかった。2015年にはロシアの補給船と米国の補給船が相次いで失敗したこともあったが、このときも米国の別の補給船と「こうのとり」は生きていたため、やはり補給は途絶えなかった。そして今回も、12月1日にロシアの補給船が打ち上げに失敗したことで、「こうのとり」のミッションの重要性が、いつも以上に高まることになった。  もし万が一、補給が長く途絶えるようなことになれば、宇宙飛行士らは国際宇宙ステーションを捨て、地球に帰還しなければならない可能性もある。国際宇宙ステーションの運用や、ひいては国際協力や貢献という点で、「こうのとり」の存在は、他の補給船と並んで非常に大きなものになっている。
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「こうのとり」6号機のミッション
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