騒動の末、香港チームがACL2017に初出場。率いるは男子トップリーグを制した世界初の女性監督・陳婉婷

活動費用の問題を残しつつ、第一代表の座を奪取した東方

 この噂(事実)は瞬く間に当事国を駆け巡り、ストレートイン枠の振り替えによって、グループステージの組み分けが大きく変動する可能性が出てきたことで、「ACL2017」に出場するクラブチームと、試合観戦を予定している大勢のサポーターも巻き込んでの大騒動に発展する。  最悪の事態に陥った香港サッカー協会は、メール着信当日の深夜に緊急理事会を招集。そして、彼らが捻り出した策は、「ACL」への出場を辞退していた東方の名義を担ぎ出し、第一代表を東方に、第二代表を傑志に戻して、アジアサッカー連盟に再通知することを決定したと、驚くべき内容を未明に発布したのだ。  アジアサッカー連盟は、最終的に香港サッカー協会の再通知を承認。第一代表の東方がグループステージへのストレートインを果たし、第二代表の傑志も予選2回戦からの出場を確定した。  東方の活動費用がどのように賄われるのかは詳しく知らないが、少なくとも参加するクラブチームの中では最も低予算の体制で大会に臨む、ということは間違いない。それでも、現役香港代表選手と、香港ではトップクラスの外国人選手を並べる東方が、アジアの列強とどこまで対峙できるのか、グループGの戦いに注目だ。  ちなみに、この東方を率いる指揮官は、世界で初めて男子のトップリーグを制した女性監督として、一躍時の人となった陳婉婷だ。彼女の存在は、話題性の観点では大会随一かもしれない。 <池田 宣雄> 1970年生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。都内の大学で中国語を学び、1992年に入社した大手物流会社で上海勤務。2002年に香港にてビジネスコンサルタントとして独立。2012年からフットボールコーディネーターとして、日本人指導者や選手たちの海外移籍の仲介や、サッカー専門誌などでの執筆活動を開始。AFCB香港紫荊會代表。香港サッカー協会アソシエイトメンバー。香港在住。 <アジアサッカー研究所> 東南アジアを中心としたアジア新興国と日本およびアジアの国々のさらなる発展のために、各国の取り組みをリサーチし、関係者に共有し、さらなる価値を創造していくことを目的として、人材開発とコンサルティング分野など、日本とアジアのサッカー交流を加速させるプロジェクトとして活動している。http://ja.ifaf.asia/
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