トラックによる木材運び出しが困難に!? 林業が抱える知られざる「トラック問題」とは

林業従事者が直面する「トラック問題」

 この問題を提起したブログ「吉野の杣人奮闘記」の運営元であるポロ・ビーシーエス株式会社の山中正氏は次のように語る。 「山の木を間伐して、残った木の成長を促すことで、大きな意味で環境に寄与しているのが林業です。そして、林業従事者は、間伐した木を運び出し、販売や再利用をして生計を立てるのですが、材木の価格もそれほど高いわけではなく、ヘリコプターを使った出材方法では採算割れしてしまうのが現状です。そのため、少しでも安価に出材する方法として林内に作業道を作り2トントラックに載せて出すシステムが有効なのですが、そこで使われる『悪路走行用高床2トンダンプ』が各メーカーとも2003年頃に生産中止となり現在残っているダンプの修理パーツのストックもどんどん無くなって来ているんです」  林業で大活躍するトラックは、低速ギヤが付いており、高床式のダンプである。もちろん、悪路走行用を謳う四輪駆動のダンプやトラックは現在もある。しかし、それらは林業の現場ではまったく使えないという。

画像提供/吉野の杜人奮闘記

「いま販売している四駆トラックは、悪路走行のためには床の高さとパワーという走破力が圧倒的に林業向けじゃないんです。というのも、今発売されている四駆トラックで実際に悪路を走行すると すぐに駆動系のギヤやシャフト 継手部分が原因かトラブルになり走行不能になってしまいます。最悪の場合、破断等により制御不能の転落死亡事故になる危険性もあります。しかし、生産中止になる前の『悪路走行用 高床 2トンダンプ』は、アプローチ+デパーチャーアングル(勾配進入退出角が高い=障害物の干渉率が低い)があるので、山頂で伐った材木を運び降ろす際の轍掘れしたコーナーや泥濘地でのバンパーや乗降ステップの路面路肩干渉の破損を防いでくれるんです。また、木材運搬用の林道は狭く折り返しが多い道なのも特長です。そのため、三菱自動車さんが高床式四駆トラックを出しているものの、ワイドボディだけなので、狭い林道では使えないんです」
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「積載登坂走行禁止」な四駆トラック
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