レンツィ敗北がEU解体、果ては第三次大戦への導火線に!? 懸念されるイタリア発の「危機」

 この様な事情から、モンテ・パスキは欧州中央銀行(ECB)には債務の返済は1月末までの延長を要請しているという。ECBのマリオ・ドラギー総裁はイタリア人で、イタリア政府への全面的な協力を約束しているようである。  そして、最終的に政府からの支援を仰ぐことになるであろうと見られている。その支援額は20億ユーロ(2300億円)になる見込みで、同銀行株の40%を取得することになり、残りの20億ユーロは政府が介入したということで安心感を与える材料となり、一般投資家から集めることを計画しているようである。恐らく、カタールやアラブ首長国連盟が投資に再度興味を示すはずであろうと見られている。  これで一時的に問題は解消したとしても、モンテ・パスキ以外にイタリアには経営難にある銀行は<ウニクレディト、バンカ・カリージェ、バンカ・ポプラレ・ディ・ミラノ、ビセンツァ、ベネト・バンカ>などがリストに名前を連ねている。このどの銀行も不良債権を抱え過ぎており、各銀行の株価は大幅に下落している。イタリアの銀行が世界から信頼性を完全に失っているのである。(参照:「La Vanguardia」)。  このような銀行危機にあるにもかかわらず、レンツィ首相の辞任で当面は無政府状態が続くことになり、イタリアが危険区域に突入する可能性がある、それを危惧しているレンツィ首相は辞任する前に  マッタレラ大統領に超党派でこの難局を乗り切る必要があると語ったそうだ。そして、必要とあらば2月に前倒し総選挙をやる必要も出てくるとレンツィ氏は判断しているという。  イタリアの次に銀行危機が待っているのはギリシャそしてポルトガルである。その後は、ドイツにそれが飛び火する危険性があるということである。 <文/白石和幸 photo by kremlin.ru(CC BY 4.0) > しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
1
2
3