レンツィ敗北がEU解体、果ては第三次大戦への導火線に!? 懸念されるイタリア発の「危機」

 そんな中、もう一つの懸念が欧州で湧き上がり始めている。それは、大規模な戦争が勃発する背後には常に金融危機がそれを誘導するかのような状態になっているという歴史的事実に基づくものだ。そして正に、その危機がイタリアで始動している、というのである。  イタリアは<ユーロ圏の中で、不良債権を一番多く抱えている国で、全体の3分の1を占めている>。<その額は3600億ユーロ(44兆円)、イタリアGDPの22%に相当する>規模である。しかも、<イタリアの銀行が発行している債権の12%は小規模な預金者が保有>している。その額は相対的には低いとしながらも、イタリア市民の預金にまで影響するようになることは国家の危機を招くことは必至である。(参照:「El Pais」)  イタリアの銀行危機の中で一番注目されているのは、世界で最も古い銀行「モンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ銀行)」が経営難にあることである。この銀行は1472年の創業で、イタリアでは3番目の規模である。しかし、赤字経営が続いており、<今年の同銀行の株価は80%下落し、9月までに8億4870万ユーロ(975億円)の損出を計上している>のである。昨年は<5億8470万ユーロ(672億円)の経常利益を上げている>としていながらも、<2016-2019年の間に不良債権の一部276億ユーロ(3兆1700億円)を譲渡することと、また年内に50億ユーロ(5750億円)の資金調達が必要>だとされている。(参照:「El Pais」)  50億ユーロの資金調達については、現在まで確保しているのは<その20%の10億2800き万ユーロ(1182億円)だけである>という。<カタール、アラブ首長国連盟そして米国>からの投資を期待していたが、今回のレンツィ首相の辞任に伴う政治危機で、イタリアへの信頼は薄いものになっているという。(参照:「El Pais」)。
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経営難の銀行が多過ぎる
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