「脱ゆとり」がさらに加速!? 安倍政権の「2020年教育改革」は何を目指すのか?

 具体的には、2020年に従来のセンター試験を廃止。高校の段階で知識レベルを測る「基礎学力テスト」・「大学入学望者学力テスト」を実施し、大学入試では思考力・判断力を問うような小論文や面接が導入されるとみられている。  これを受けて小中高でも、教員が教壇に立って知識を教授する「一方通行型」の授業から、ディベートや課題研究を取り入れた「アクティブ・ラーニング(能動的な学習)」への転換を余儀なくされつつある。  この変化について、東京都初の民間人校長として杉並区立和田中学校の校長を務め、『日本人なら知っておきたい 2020教育改革のキモ』(扶桑社)にも寄稿している教育改革実践家・藤原和博氏は次のように解説する。 「20世紀の日本の教育は、正解を速く正確に当てる力――『情報処理力』と言いますが――これを徹底的に鍛えていました。ところがバブル経済崩壊以降、成長社会は終焉を迎え、98年から日本は成熟社会に入った。価値観も多様化、複雑化して、変化が激しい社会になったのです。『勉強していい会社に入れば一生安泰だ』と考えていたのが、一流企業でも倒産する世の中になって、正解が一つではないことが増えてきたでしょう。こうした成熟社会では、自分で仮設を立てて自分で解決していかなければいけません。その能力を、自分の知識、技術、経験の全部を組み合わせることから『情報の編集力』と呼んでいます。要は、これからの入試改革でどうしたいかというと、正解を求める20世紀型の情報処理力については高校までで養ってしまい、それを測るのも高校の間にやっちゃいましょうということ。そして大学入試では情報編集力を測っていく。こういう感じになりそうなんです」
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成果が出るのに15年はかかる!?
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2020教育改革のキモ

これらの疑問に対し、教育界気鋭のメンバー20人が徹底解説