英国は本当にEU離脱できるのか? 力を増す英国内の「反Brexit」派

 メイ政権の内部においてもBrexitの支持派と反対派に分かれている。  支持派はボリス・ジョンソン外相、デイビット。ベイビスEU担当相、リアム・フォックス国際貿易相が核になり、反対派はフィリップ・ハモンド財務相とグレッグ・クラークエネルギー産業相らである。ハモンド財務相は<この先5年間にBrexitが及ぼす財政負担は1220億ポンド(17兆円)、GDPも通常より毎年2.4%少ない成長になる>と指摘している。その影響で、ジョージ・オズボーン前財務省が<2019年までに財政赤字を無くす>ことを公言したが、<それは2020-2025年まで待たねばならない>と述べた。その裏付けのひとつになっているのが、Brexitを選ぶと<毎年財政収入が728億6400万ユーロ(8兆3800億円)減少する>と見込まれていることである。(参照「El Pais」、「El Confidencial」)。  こうした状況の中、Brexitに立ち込める暗雲はさらに濃いものになってきている。  例えば、ロンドンの高等裁判所が、EUとの離脱交渉をする際に、リスボン条約50条のEUへの通告には英国議会の承認が必要とするという判決を下した件である。政府は、その判決を不服として最高裁に上訴した。その判決が12月に下されることになっている。専門家の間では高等裁判所と同じ判決が下されるものと見られている。  もしそうなると、メイ首相はますます苦境に立たされることになる。何故なら、650議席の議会でEU残留に支持を表明している議員が480人いると見込まれているからである。329議席を持つ保守党内部も賛成派と反対派で真っ二つに分かれているのである。(参照「El Mundo」)  このような厳しい状況の中で、メイ首相は政策の舵取りをせねばならないのである。
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Brexitやれんのか?
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