そもそもの大統領の任期は2018年2月。同じ2月には平昌五輪も開催される。「崔順実ゲート」は平昌五輪にも深く触手を伸ばしており、ただでさえ工期の遅れや予算不足が憂慮されているなか、政治的な混乱が重なれば、開催自体が危機的な状況になる。
週末ごとに開かれる国民の「100万人デモ」、ゼロに等しい支持率、次々に検挙される容疑者たち、国政の混乱。このような状況下において、朴大統領が任期を全うするのは不可能である。
今回の談話が、朴大統領の真意なのか。それは誰にも分らない。ただ、いまや朴大統領は、崔順実の「操り人形」から、新たな権力者たちが時間を稼ぐための「防弾盾」になり果てた。「100万人デモ」の主催者たちは、今週末には「300万人」の参集を呼び掛けている。今回の朴大統領の「決断」が、逆に退陣を加速化させる結果になるかも知れない。
<取材・文/安達 夕 photo by
Republic of Korea via flickr(CC BY-SA 2.0) >