ニコニコ動画のプレミアムサービスに近い価格帯では、昨秋日本に上陸した「Netflix」や日テレが所有する「Hulu」などのドラマ・映画が定額で見放題なサービスが存在する。それらと渡り合う価値を提供するハードルは高い。ネット動画の先駆けであるニコニコ動画だったが、動画配信業界の盛り上がりは逆風となり兼ねない状況だ。
利益構造を見ても、売上原価がかさみ、ほとんど利益が出ていないことがわかる。衰退傾向にある出版業界と成長著しいIT業界だが、両者の融合を試みるカドカワにおいては、逆転現象が起きているのだ。
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そう考えると、経営統合は実はドワンゴ側にとっての渡りに船だったと言えるかもしれない。統合が行われた’14年度において、カドカワは260億円あまりの「負ののれん」を特別利益として計上した。
これはKADOKAWAの取得原価に比べ、時価評価が大幅に上回ったこと、つまり安くKADOKAWAを買えたことによるボーナスである。実はその特別利益の計上がなければ、同社は最終赤字に陥っていたのだ。
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今期500億円の長期借入を行ったことで、手元に1000億円もの現金を持つカドカワ。これからどのように攻めていくのかますます注目の企業だ。
【参照】
カドカワ株式会社「
有価証券報告書・四半期報告書」
<文/大熊将八>
おおくましょうはち○現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『
進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。twitterアカウントは
@showyeahok