カドカワ、業績好調な巨大メディアグループで問われる伸び悩み「ドワンゴ」の真価

独自路線でも好調な電子書籍部門

 出版業界は紙の雑誌が売れなくなったことなどを理由に20年間で1兆円も市場が縮小するなど非常に厳しい市況にさらされているが、電子書籍のマーケットは着実に成長しており、今後5年間でほぼ倍増して3000億円を超えると予想されている(参照: 「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2016』」)。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=118848  その電子書籍業界においてKAODOKAWAは、出版事業の売上では負けている講談社・小学館・集英社といった他の大手出版社を差し置いて1位をキープしている。同社は経営統合してすぐに電子書籍ビューワーの「i文庫」や読書の履歴管理・感想共有サービス「読書メーター」を買収するなど、自社の電子書籍プラットフォームの強化に力を注いでいる。  また、アマゾンが配信停止の措置を取って講談社を激怒させた、定額読み放題サービス「Kindle Unlimited」には当初から参加しないなど、独自路線を取っている。一方で、紙の本においてもKADOKAWAは’15年から出版取次を介さずアマゾンとの取引をはじめ、コスト削減に務めるなど、したたかだ。  そんな出版事業と比べて、Webサービス事業は冴えない。ドワンゴが運営する「ニコニコ動画」のプレミアム会員数は、’16年に入ってから完全に横ばいとなってしまっている。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=118849  原因はスマホ最適化から取り残されたことに尽きるだろう。’16年はスマホ動画元年と言われ、早くも1000万ダウンロードを突破した「AbemaTV」を筆頭に、各社がさまざまなサービスでしのぎを削っている。  動画配信のサービスだけでも「ツイキャス」や、Twitter社が所有する「Periscope」、アイドルや声優などの配信数が多い「SHOWROOM」、「LINE LIVE」など、数え上げればキリがないほどの競合が存在する。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=118850  それらのサービスは基本的に無料で使える広告モデルで提供されている。広告依存度が低く、月額課金をしてくれるユーザーを積み上げてきたニコニコ動画だが、今後もユーザーがお金を払い続けてくれるか、気がかりなところだ。
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ほとんど利益が出ていない「ニコニコ動画」
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